日本人の「食」の嗜好は30年でどう変わっているのか。博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」では、「好きな料理」を聴取し続けている。その内容を細かく分析すると、「食」に関して大きな変化が起きていることが判明した。その変化とは一体何なのか……。記事の最後には、会食/デートなどの献立選びに役立つ「性年代別 好きな料理トップ10」も掲載!
博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」で聴取する「好きな料理」。本連載の第3回「たこ焼きが1位? 和食が消えた? 好きな料理ランキング大激変」(2021年1月19日公開)では、2018年から20年にかけて「好きな料理」の41項目中38項目(全体の92.6%)でスコアが上昇したことが判明しました。特に上昇率が高かったのが「たこ焼」「ハンバーガー」「丼もの」といった「主食副食一体型」。これらの料理の人気急上昇には、コロナ禍の影響がありそうだということも考察しました。 ▼関連記事 たこ焼きが1位? 和食が消えた? 好きな料理ランキング大激変あれから約2年。最新の2022年調査の結果を見ると、前回と打って変わって20年から22年にかけてほとんどの項目が微増減にとどまり、大差は見られず。3ポイント以上上昇したのは、ハンバーガーのみでした。コロナ禍を機に人気が急上昇した「主食副食一体型」料理は、そのまま食卓に定着したようです。
このように長期時系列調査を追うと、生活者や暮らしの変化が見えてきます。そして、この変化は読者の皆さまのマーケティングのヒントや話材として、お役立ていただけるのではないでしょうか。そこで今回は短期から長期へと視野を広げ、1992年から聴取する「好きな料理」の30年史をランキング形式でご紹介していきたいと思います。
「好きな料理トップ10」の30年変化
分析の基となるランキング表は以下です。1992年から2022年まで10年刻みの「好きな料理トップ10」をまとめました(ちなみに、一般公開している「生活定点」はおなじみの折れ線グラフに加え、ランキングで見られるものもあって、どなたでもご活用いただけます)。
これだけだと何の変哲もないランキング表なので、気になった料理に色を付けてみましょう。
トップに君臨し続ける「寿司」
トップバッターは「寿司(すし)」。表に色を付けるだけで、ほら「寿司」が30年間トップに君臨し続けていることが分かりやすくなりました。外国人からも大人気で「これぞ、日本食」ってな「寿司」が不動の1位にい続けるのが、うれしくもあり、誇らしい……、そんな気もしてきます。
「うどん・そば」が「ラーメン」に“食われる”
一方、「寿司」と同じく、日本食の代表といえる「うどん・そば」は落ち目なようです。最新の2022年調査ではついに圏外の11位に。では、「うどん・そば」をここまで追いやったのは何なのでしょうか。
それはラーメンです。1992年には12位でしたが、2002年にいきなり4位に躍り出て、12年、22年と連続3位の座を維持。「うどん・そば」は「ラーメン」に食われてしまったように見えます。
男性の胃袋をつかむ「ラーメン」と「カレー」
この「ラーメン」人気、実は男性が後押ししています。以下の男性のみのトップ10をご覧ください。30年前の1992年から既に「ラーメン」は8位でトップ10入り。その後の順位は全体と同じですが、スコアは全体を大きく上回り、2022年にはついに30%台に突入。同様に「カレーライス」も男性の大好物。これもまたスコアが全体よりも高いのが特徴的です。男性の胃袋をつかむには、「ラーメン」と「カレー」。これ、覚えておくとよさそうです。
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