20年前と今で、“40代おじさん”の意識はどう変わったのか――。博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」の20年以上にも及ぶデータを分析すると、大きく変わったこと、変わっていないことがはっきりと見えてきた。自らも40代の上席研究員・前沢裕文氏が“40代おじさんの約20年史”をひもとく前編は、「家事・育児への理解度」「イライラへの寛容度」などの意識の変化に迫る。
20年間で“40代おじさん”はどう変わったか?
いきなりですが、「おじさん」の意識調査の結果を示した2つのグラフをご覧ください。
左は「世の中一般の『おじさん』について、そう思う」イメージと、「自分自身を自己分析して、そう思う」イメージを尋ねた結果です。例えば、世の中一般のおじさんを「ダサい・センスがない」と思うおじさんは70%に上りますが、自分自身を「ダサい・センスがない」と思うおじさんは27%にとどまっていることが分かります。
「おじさんへの忠告」に対する意見について尋ねた結果を示した右のグラフも、傾向は同様です。世の中一般のおじさんへの忠告としてもっともだと思うおじさんは多い一方、自分自身への忠告としてもっともだと思うおじさんはそれを下回る結果に。
どちらの質問に対しても、自分ごととしてはあまりピンときていないようです。挙げた20項目すべてにおいて、自分自身はそこらのおじさんとは違うんだ! という強烈な自意識がうかがえますね。
いやー、おじさんってほんと自分を客観視できていない! ずうずうしい! とまるでひとごとのように言えるのは、実際にひとごとだからでして。実は、上記2つの調査は1989年に生活総研が行ったものなのです(首都圏にある従業員1000人以上の企業に勤める30~50代の既婚・子持ちの男性会社員150人が調査対象)。
30年以上も前の調査だと分かった上でもう一度結果を見てみるとどうでしょう? ん、いや、あれ? 自分も大して変わらない答えをする気が……。
調査結果を分析した当時のリポートには、おじさんについて「世の中が女性、子どもの時代になって、最近ちょっと分が悪い」「『取り残され族』としてイメージが定着してしまった」など、なんとも痛ましい言葉が並んでいます。急にひとごととは思えなくなってきました。おじさん自身の意識も、置かれている境遇も今とそう大きく変わらないのかも、と興味だけでなく危機感も抱く調査です。
では、実際のところ、おじさんたちの意識って今と昔とで変化しているのでしょうか?
ということで、博報堂の長期時系列調査「生活定点」の1998年から2020年の22年に及ぶ調査結果(聴取開始年が異なる項目もあるため、28年分聴取した項目も!)から、今回も40代おじさんの回答に焦点を当て、“40代おじさんの長期変化”を追ってみました。
先んじてほんの一部をご紹介すると、下記のような回答の変化が表れています。
3つだけでも、40代おじさんの意識の変化の一端が見えるのではないでしょうか。
他にも「生活定点」で聴取している約1400項目の中から、イライラ時間、人間関係、仕事観、遊び・趣味など、40代おじさんに特徴的な意識・行動、数値に大幅な増減がある項目を中心に、様々な側面から昔の40代おじさんとの違いや他の性年代との変化の違いについて見ていきます。
すべては、私たち40代おじさんの自己理解と自己革新のために!
意識は改善しているけれど、改善度合いは控えめな40代おじさん
◆家事・育児への【理解度】
まずは、家事・育児に関する項目から。
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