2040年の未来はどうなる? 博報堂生活総合研究所が21年10月に実施した「生活者1万人への未来調査」。全国1万人を対象に、未来に対する見通しや願望など聴取した結果からは、生活者が抱える意外な悩みや望みが見えてきた。AI(人工知能)は、ロボットは、働き方はどう変わるのか、そして生活者はどんな未来を描き、望むのか……。今回と次回、2回にわたって“生活者による未来予測”を博報堂の研究員が分析する。
・2040年、医師が遠隔にいながら診療や手術をすることが普通のことになっている。
・2040年、ロボットに対して、友情や恋愛感情を持つことが普通のことになっている。
・2040年、企業は、収益よりも社会課題解決への貢献度で評価されるようになっている。
こんな未来が現実になるとしたら、皆さんはどう感じるでしょうか?
急速な技術の発展や、気候変動、地球規模の災害、疫病、そして戦争……と、予期せぬ出来事が次から次へと起こる昨今。“不確実性”や“VUCA(編集部注:Volatility<変動性>、Uncertainty<不確実性>、Complexity<複雑性>、Ambiguity<曖昧性>という4つのキーワードの頭文字を取った言葉)”というキーワードを地で行くような時世だからでしょうか、近年はビジネスパーソンの間で「未来予測」への関心の高まりを感じます。
書店に足を運んで、ビジネス書のコーナーをのぞいてみると、2030年や2040年の未来予測に関する本を何冊も見つけることができます。ただ、それらの書籍を読んでみて感じるのは、人口動態や技術進化を基に「2040年には○○が実現している」という見通しを並べたものが主で、社会の当事者であるはずの「生活者がどんな未来を望むのか?」という観点が希薄ではないか、ということ。
そんな問題意識もあり、博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)では21年10月、「生活者1万人への未来調査」を実施。全国1万人、15〜69歳の生活者を対象に、未来に対する見通しや願望、イメージなどを様々な角度の設問によって聴取しました。
メインとなる設問では、冒頭でも列挙した「2040年、医師が遠隔にいながら診療や手術をすることが普通のことになっている」などをはじめ、2040年の生活や社会の様子(未来事象)をずらりと120項目ほど提示。各項目について、
①「実現してほしい/実現してほしくない/関心がない」(願望)
②「実現していそう/実現していなそう」(予想)
と、主観的な願望と、客観的な予想という2つの観点から回答してもらいました。果たして、1万人の生活者が実現を望む未来、実現を予想する未来はどんなものなのでしょうか?
「実現してほしい未来」と「実現していそうな未来」のBEST5は…
120項目それぞれの願望と予想の回答割合を、①で「関心がない」と回答した人を除いたベースで算出したところ、得られたのは以下のような結果でした。まずは「実現してほしい未来」という願望について。
次は、「実現していそうな未来」という予測について。
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