「お金持ち」のイメージを2回にわたって分析する後編(前編はこちら)。各世代の「お金持ち像」を見ていくと気づくのは、徐々に「憧れ」が薄れていき、年代が上がるにつれて「希望するライフスタイル」と「お金持ちの要件」の乖離(かいり)が進む点だ。若年層がイメージするお金持ちをひもとくことで、思わぬ発見が得られるかもしれない。

前編はこちら

 では、早速40代の「お金持ちの要件」から見ていきましょう。

 ●40代: 
【お金持ちの要件】
人間関係を大事にし、困っている人や弱い人を助ける

全体との差分ランキング トップ5
全体との差分ランキング トップ5

 40代が考えるお金持ちの要件は、20代、30代と比べて全体との差分が少ない(突き抜けた特徴ではなくなる)のですが、若年層では出てこなかった項目として、「困っている人や弱い人を助ける」や「人間関係を重視する」などが上位に出てきます。

 自分が楽しめるか、自分らしさを発揮できるか、といった自分を軸とする考え方が多かった20代・30代と比べ、40代は他者を大事にすることがお金持ちに必要な条件である、という考えが高まるようです。独りよがりでは成功し得ないことを経験で実感しているのでしょうか。

【お金持ちの人物】
IT業界の寵児・寄付する慈善家
(回答例の一部)堀江貴文(ライブドア元代表取締役CEO・投資家)/三木谷浩史(楽天会長兼社長)/孫正義(ソフトバンクグループ会長兼社長)/(六本木ヒルズなどの)タワーマンション住人/ビル・ゲイツ(マイクロソフトの共同創業者兼元会長)/巨額の寄付ができる人

 人物像は30代同様に実業家が多いのですが、違いはIT業界の寵児(ちょうじ)たち(日本人中心)で「ちょっと懐かしい……」と感じるところ。今の40代が20代くらいの頃の1999~2001年は、日本がITバブルに沸いた時代。パソコンやネットが急速に普及し、あらゆるネット上のサービスが整備されました。当時「IT長者」や「ヒルズ族」なんて言葉もはやりましたね。また人物像で挙がった人たちは慈善家としての顔も持っており、「困っている人や弱い人を助ける」という40代の考えるお金持ち要件ともリンクしています。

 ●50代、60代: 
【お金持ちの要件】
家族を第一に考え、社会や仲間のために尽くす

全体との差分ランキング トップ5
全体との差分ランキング トップ5
全体との差分ランキング トップ5
全体との差分ランキング トップ5

 最後に50代、60代ですが、この年代は似ている回答傾向だったためまとめてご紹介します。お金持ちの要件は、40代よりさらに全体との差分が少なくなります。60代に至っては、全項目の差分がマイナスと低い反応値でしたので、60代はマイナス差分が少なかった項目トップ5を挙げています。

 その中で比較的特徴的だったのが、「家族の幸せを第一に考えた生活をする」や「社会や仲間(友達)のために尽くす」「人間関係を重視する」です。40代でも他者を意識する考え方が特徴的だとお伝えしましたが、40代では出てこなかった「家族」や「仲間」といったキーワードが上位に挙がります。世界を相手に大きなことを志すよりも、自分に近しく大事な存在のために尽くす。そんな考え方が特徴のようです。

 ちなみに、60代で全体とのマイナス差分が大きかったものトップ3は、「自分の感性や感覚を磨く(-9.8ポイント)」「流行など新しいものの刺激を受ける生活をする(-9.6ポイント)」「楽しさ、面白さを求め生活をエンジョイする(-9.0ポイント)」で、若年層と真逆の反応となりました。長い人生経験の中で、現実はそんなに甘くないぞ!という声が聞こえてくるようです。

【お金持ちの人物】
日本の政治家や国内の大企業の社長
(回答例の一部)政治家/国内大企業の社長(トヨタ自動車社長/ネクスコ中日本会長/ファーストリテイリング(ユニクロ)社長、など

 国内の大企業の社長や日本の政治家が多く挙がるのがこの年代。60代は戦後の日本の高度成長期を、50代はバブルを若い頃に経験しており、日本の経済発展のために社会の一員として尽力した人たちです。当時、海外でも日本車や日本家電が重宝され「Japan as No.1」と、日本企業・日本製品に誇りを持っていました。若い頃にこうした経験をしている彼ら・彼女らが日本企業の社長や政治家をお金持ちの人物像として挙げるのは納得です。また、この時代は勤務先や役職でステータスが決まる時代でした。お金持ちの人物像で個人名が多く出た他年代とは異なり、企業名や肩書が多かったのはそのためかもしれません。

 ご紹介したように、生活者のアタマの中の「お金持ち」イメージは各年代で大きく異なること、そして彼ら・彼女らが若い頃の時代背景や出来事にひも付けられていることがデータから読み取れました。「お金持ち」ってどんな人?と聞けば、その人のおおよその年代が分かってしまうかもしれません。

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