TikTokフォロワー数が620万人のクリエーター集団、マツダ家の日常。500万回再生を超える動画を連発するヒットメーカーは「グローバル展開している企業ほどTikTokは向いている」と語る。Z世代など若者の心をつかむコンテンツはどうつくるのか。IT評論家の尾原和啓氏が迫った。
尾原和啓氏(以下、尾原) TikTok視聴者の多くは10~20代の若者です。Z世代とも呼ばれる若者を引き付ける動画をつくるうえで、何を重視していますか?
関ミナティ氏(以下、関) Z世代の人たちって、めちゃくちゃ動画を見ているんですよね。おそらく30代以上の人たちからすると信じられない量を、それも毎日。自分たちでは気づいていないし、言語化もできないけれど、「動画を見るプロ」の状態です。なので、少しでも作為的にバズらせようとしている部分があると感じ取れます。例えば、10代に合わせてつくられた動画は「これは10代に合わせようとしているな」とバレてしまいます。
尾原 こちらの意図が透けて見えてしまうわけですね。
関 見透かされますね。同様に「この人、本当にこれが好きでやっているんだな」というのも伝わります。しかも、この感覚って日本だけのものじゃなくて、どの国のZ世代にも共通していることなんじゃないかと思っているんです。
尾原 戦略的な部分を持ちながら、一方で作り物だと見透かされないようにするためには、どのようにバランスを取ったらいいんでしょう? 企業がTikTokなどのソーシャルメディアを活用する際に、担当者が一番頭を悩ませる部分ってそこだと思うんです。企業としては自分たちの伝えたいことや、売りたい商品について発信する必要があるから、どうしても加工的なものになりやすいですよね。
関 一番の悩みを初めて人から指摘されました(笑)。僕たちの場合でいうと、世界で一番多くの人を笑顔にしたい、という思いが根底にあります。好きなことをして一部の人に認めてもらえればいい、とは考えていないんです。
僕は本当にわがままな性格なので、将来は1本の動画に1億円ぐらいはかけたいなという願望があるんですね。
尾原 えっ、1億円ですか?
関 1本の動画に1億円、それを年に1回やりたいとかじゃなくて、全部の動画にそれぐらいの予算をかけたい。これを実現させようと思うと、毎日投稿するなら365億円かかってしまうので、普通のマネタイズ方法では絶対にかなわない。じゃあ、この桁のお金をどう生み出していけばいいんだろうと考えたときに、まずは企業の中の決定権がある人たちにファンになってもらう必要があると思ったんです。
それじゃあ、その人たちが応援したくなる人はどんなことを発信しているんだろうと想像した際に「新しいプラットフォームをロジカルに語れる人」というのは一つあるのかなと思って、今そっちに進んでいる感じですね。
尾原 流行や新しいものを論理的に話せるという、企業が求めているポジションにいこう、と。実際、マツダ家の日常では企業のコンサルティングもしていますね。企業からはどんな依頼が多いのでしょう?
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー