Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)の渡辺創太CEO(最高経営責任者)は、「Web3(3.0)時代の基幹インフラ」構築を目指す。どのように迅速な技術開発を実現させているのか。「20代で『兆円』単位の挑戦をしたい」と語る渡辺氏に、IT批評家の尾原和啓氏が聞いた。

Stake Technologiesの渡辺創太CEO(最高経営責任者、右)。2018年に米国サンフランシスコのブロックチェーンスタートアップ、クロニクルドに就職。帰国後、東京大学大学院ブロックチェーンイノベーション寄付講座共同研究員を経て、19年にStake Technologiesを創業。20年に拠点をシンガポールへ移す。IT批評家の尾原和啓氏(左)とシンガポールで対談した
Stake Technologiesの渡辺創太CEO(最高経営責任者、右)。2018年に米国サンフランシスコのブロックチェーンスタートアップ、クロニクルドに就職。帰国後、東京大学大学院ブロックチェーンイノベーション寄付講座共同研究員を経て、19年にStake Technologiesを創業。20年に拠点をシンガポールへ移す。IT批評家の尾原和啓氏(左)とシンガポールで対談した

尾原和啓氏(以下、尾原) Astar Network(アスターネットワーク、以下Astar)は技術的に難しい領域にもかかわらず、わずか30人ほどのメンバーがスピーディーに開発していますね。なぜこんなに効率よく開発を進められるのか、不思議です。Astarの開発メンバーが30人だと聞いたら、きっと日本の大手システム開発会社の方々は驚くと思いますよ。

渡辺創太氏(以下、渡辺) 単純にメンバーのスキルが高いっていうのもあるとは思うんですけど、継続して頑張れるかどうかが大事ですね。我々が採用で一番気を付けているのは、カルチャーフィットの部分です。前回もお話したように、暗号資産(仮想通貨)は価格の変動が激しい世界なので、気持ちが落ちてしまったり、辞めたくなったりする要因がいくらでもあるんです。

 そんな環境にもかかわらず、なぜWeb3の世界に飛び込みたいのか。その理由や、金銭以外のモチベーションがすごく重要です。その点を面談で見極めてから採用しているので、開発速度は落ちないです。そもそも勤務時間の定時がないような環境なので、メンバーは全員めちゃくちゃ働いてますよ。(笑)

尾原 金銭以外で、働く方々にとって軸となる報酬はどんなものなんでしょう?

渡辺 世代によってモチベーションは違うと思います。例えば、うちはCTO(最高技術責任者)が23歳で、シニアエンジニアは45歳なのですが、シニア層の中には大手システム開発会社出身のメンバーもいます。彼らは既に様々な技術を見てきて、今後の変化が期待できない技術をメンテナンスする仕事よりも、こちらに魅力があると話しています。

若者にとって初めての未開拓地

尾原 新しいことを学びたい、チャレンジしたい、っていう欲求が強いんですね。創太さんのような若い方々はどうですか?

渡辺 若い人たちにとって、クリプト(暗号資産)は自分たちが最初から乗れる大きな波なんです。Webサイトが誕生したときに僕はまだ生まれていませんし、AI(人工知能)も60年以上の歴史がありますよね。一方、ブロックチェーン(分散型台帳)は始まったばかりで、たった十数年の歴史しかない。まだまだ初期マーケットです。このタイミングから、体力も気力もある若いうちに参加できるというのはすごく恵まれていると思っていて。この時代の波に対してモチベーションが高い人は、若い世代に多いですね。

尾原 なるほど。ブロックチェーンは若い世代が体験できる「最初のフロンティア」なんですね。

 もう一つお聞きしたかったのが、Astarの上で動くDApps(非中央集権型アプリ)の開発者に向けた報酬についてです。ブロック生成(いわゆる仮想通貨のマイニング)で発生する報酬のうち、40%を開発者に配分しています。なぜこうした仕組みにしたのですか?

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