衆院内閣委員会での質問が話題となった自民党のデジタル社会推進本部で本部長代理を務める平将明議員に、Web3(3.0)時代の政策について聞く後編。国家戦略特区、地方創生、クールジャパンと、日本の各地を活性化させるための取り組みにも必須のツールになっていくと平氏は展望する。

衆院議員の平将明氏。19年、内閣府副大臣に就任。地方創生、IT政策、クールジャパン戦略、宇宙政策などを担当。現在はデジタル社会推進本部本部長代理兼NFT政策検討プロジェクトチーム座長などを務める
衆院議員の平将明氏。19年、内閣府副大臣に就任。地方創生、IT政策、クールジャパン戦略、宇宙政策などを担当。現在はデジタル社会推進本部本部長代理兼NFT政策検討プロジェクトチーム座長などを務める
▼前回はこちら Web3を岸田政権「新しい資本主義」の核に 衆院議員の平将明氏

尾原 Web3関連の起業家など先進的な人たちは、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を持っている人だけのコミュニティーの中であらゆることが決められるようになり、外部の人を説得するくらいだったら「自分たちが進化した方が早いや」という意識を持ち始めています。結果として日本の税制が不利であれば、シンガポールなど海外に行ってしまおうと。結果として日本の現状の税制は「移住促進政策」になってしまっています。

 一番難しいのは、Web3とかクリプト(暗号資産)経済圏の方々のカルチャーが「分からない人はいいよ、俺たちだけでいこうぜ」ってなりがちなことですね。

尾原 この3カ月くらいで急速にそうなってきました。先進的な人々を日本にひき付ける説得材料が必要ですね。

 これは伊藤穰一さん(デジタルガレージの共同創業者・取締役)のアイデアですが、暗号資産として発行するクリプトビザのようなものをつくって、ブロックチェーン(分散型台帳)周りの優秀な人たちが日本に滞在しやすくする。ほかにも、地方創生プロジェクトでDAO(ダオ、自律分散型組織)トークンを発行するという考え方もあります。

 ある地域の事例ですが、田んぼのあぜ道で小型の発電機を使って水力発電をして、それをDAOにして、トークン化するという取り組みがあります。米国のワイオミング州では会社法と並ぶ「DAO法」のようなものができたそうです。地方創生などもモメンタム(勢い)に欠けている部分があるので、私はやっぱり国家戦略特区や地方創生の文脈で「DAOトークン」のようなものをつくっていろいろ実験してみたら面白いんじゃないかと。

 DAOは本当に「地方創生に合っているな」と感じますし、国家戦略として税制改正を進めていけば、私はまだ日本は巻き返せると思っています。

 日本のコンテンツとNFTという組み合わせにも、大きな可能性があります。私はアニメ作品、特に「エヴァンゲリオン」などもとても好きです。米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)もエヴァンゲリオンの大ファンだということで、世界的にアニメなどの日本のコンテンツは広く認知されています。こうした映像やデジタル原画などのコンテンツをNFT化した瞬間に、世界のコレクターのマーケットで一気に値段が上がる可能性もあります。転売される度にクリエーターや知財を持っている人にお金が入ってくる仕組みをつくることができるのも重要です。

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