SNSが大ブームとなった後、モバイルゲーム事業を伸ばしてきたミクシィが、次の主軸としてスポーツ事業を強化している。特に注力しているのは競輪アプリだ。ミクシィがなぜスポーツ事業なのか。なぜその中で競輪なのか。IT評論家の尾原和啓氏がその狙いを木村弘毅社長に問いかけた。

ミクシィの木村弘毅社長。2008年ミクシィに入社。ゲーム事業部にて「サンシャイン牧場」の運用コンサルティングなど多くのコミュニケーションゲームを手掛け、その後モンスターストライクプロジェクトを立ち上げる。 18年4月に取締役執行役員(スポーツ領域担当)、同年6月に社長執行役員(スポーツ領域担当)。20年4月より同社社長
ミクシィの木村弘毅社長。2008年ミクシィに入社。ゲーム事業部にて「サンシャイン牧場」の運用コンサルティングなど多くのコミュニケーションゲームを手掛け、その後モンスターストライクプロジェクトを立ち上げる。 18年4月に取締役執行役員(スポーツ領域担当)、同年6月に社長執行役員(スポーツ領域担当)。20年4月より同社社長

 「TIPSTAR(ティップスター)」は、ミクシィが2020年6月に開始した競輪のネット投票を基本無料で楽しめるアプリ。モデルやお笑い芸人が毎日競輪を話題とするライブ配信をしており、その映像を見て楽しむだけでなく、アプリ上で実際に車券を購入できる。無料でベットする(賭ける)こともでき、的中すればガチャポイントを獲得できる。

 ライブ配信アプリとモバイルゲームを組み合わせたような構成だ。ライブ配信者の予想と合わせる「のっかりベット」機能を搭載するほか、配信者の女性比率を高くするなど、初心者や女性を含め競輪ファンの裾野を広げる狙いがあることが分かる。ミクシィのスポーツ事業をけん引してきた木村弘毅社長に展望を聞いた。

海外での盛り上がりを日本にも

尾原和啓氏(以下、尾原氏) 私自身もティップスターを触らせていただいたのですが、日本らしいスポーツ変革の在り方だなと感じました。こうした新しいスポーツ事業に踏み込まれた経緯や狙いからお聞かせください。

木村弘毅氏(以下、木村氏) そもそもミクシィでは企業ミッションとして、「エンタメ×テクノロジーの力で、世界のコミュニケーションを豊かに」することを掲げています。SNSの「mixi(ミクシィ)」や、モバイルゲームの「モンスターストライク(モンスト)」もですが、いかに豊かなコミュニケーションを提供していけるかをテーマとしてきました。

ミクシィの競輪アプリ「TIPSTAR(ティップスター)」。モデルやタレントのライブ動画を見ながら楽しめる。初心者も楽しめるように、各配信チームの予想に合わせた「のっかりベット」機能も備える
ミクシィの競輪アプリ「TIPSTAR(ティップスター)」。モデルやタレントのライブ動画を見ながら楽しめる。初心者も楽しめるように、各配信チームの予想に合わせた「のっかりベット」機能も備える

 次のコミュニケーションを生むための材料は何かを考え、数年前からフォーカスを当ててきたのがスポーツです。勝ち負けや、1点が入ったことで観客が一喜一憂するなど、一度に多くの人を元気にできる事業はスポーツ以外には、なかなかないと思っています。20年に東京五輪・パラリンピックが開催予定だったこともあり、ビジネス的にスポーツ産業をもり立てながらどのようにしてコミュニケーションを追求していくかをテーマに考えていたときに私が着目したのが、「スポーツベッティング(スポーツを対象とした賭け)」だったのです。

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