パッケージデザインはマーケティング活動における重要な要素だ。パッケージデザインの制作・評価に携わって20年の著者が、経営者やマーケター、ブランド担当者が知っておくべきパッケージデザインの鉄則をまとめた新刊『売れるパッケージデザイン 150の鉄則』(小川 亮著、日経BP)から、特に重要なポイントを抽出した連載の第10回。

イノベーションの立役者としてのパッケージデザイン

 特定の商品やサービスが浸透し、人々の生活を大きく変えることをイノベーションといいます。イノベーションの成功は企業に大きな成長と利益をもたらします。歴史を振り返れば蒸気機関やエジソンの白熱電球、パソコンやインターネット、スマートフォンなどは人々の生活や文化を大きく進化させました。ここまで大きなイノベーションを起こすことはまれだとしても、多くの企業は従来にない新しい市場創造に向けて努力を続けています。

 パッケージデザインとイノベーションを考えると、人々の生活に密着しているパッケージデザインにはチャンスが多くあります。大きく3つの視点があると考えられます。

 1つ目は最新技術をパッケージデザインに取り込むことによるイノベーションです。パッケージに関連する技術には人々の生活を大きく変える可能性があります。例えば日本が強い国際競争力を有する素材分野では、環境にやさしい素材開発が進んでいます。こういった素材をいち早く取り入れ、人々の生活を変えていくことはパッケージデザインに課せられた使命でもあります。他にもAI(人工知能)の活用に可能性を感じますし、各種センサーの小型化やペーパー化などが進むにしたがって、IoTがパッケージに取り入れられていく可能性があります。

 2つ目の視点はイノベーションへのアイデアを可視化していくというデザインの役割です。デザイン思考やデザイン・ドリブン・イノベーションといった考え方に代表されるように、イノベーションを起こそうとする商品やサービスの開発では、開発の早い段階でいったんアイデアをデザインにして可視化することが求められます。可視化することで開発チームの目標が明確になったり、ターゲットのニーズをより深く理解できたりします。

 特にイノベーションを狙うような新規性の高いアイデアは、形にしてみないと開発チームが何をしたいのか、何をしていくべきかが分かりにくい場合が多いのです。従来はマーケティングプランやコンセプトが用意されて、そこからデザインがスタートしていましたが、今はコンセプトをつくるためにデザインを活用するという役割が求められています。

 3つ目はユーザーの使い方からイノベーションを狙うという方法です。消費者の商品の使い方を丁寧に分析することにより、新しい使い方や商品開発のヒントを掘り下げていきます。

パッケージデザインとイノベーションを考える3つの視点
パッケージデザインとイノベーションを考える3つの視点