パッケージデザインはマーケティング活動における重要な要素だ。パッケージデザインの制作・評価に携わって20年の著者が、経営者やマーケター、ブランド担当者が知ってくべきパッケージデザインの鉄則をまとめた新刊『売れるパッケージデザイン 150の鉄則』(小川 亮著、日経BP)から、特に重要なポイントを抽出した連載の第3回。
消費者に寄り添えるか
売れるためのパッケージデザインという視点で考えると、パッケージデザインの評価はまず、「短時間で正確に商品のベネフィットが伝わっているか」ということがポイントになります。特に新商品の場合には、この視点が重要です。さらにそれを細かく評価するに当たって、5つの軸で評価することをお勧めします。覚えやすいように「ABCDE」としています。
- A:Attention (目立つか)
- B:Basic(らしいか)
- C:Concept(コンセプトが伝わっているか)
- D:iDentity(アイデンティティーがあるか)
- E:Experience(経験価値があるか)
Aの「目立つかどうか」は、多くの競合商品の中で、どれだけ記憶に残るかという視点です。Bの「らしいかどうか」は、そのカテゴリーらしいか、自社の商品らしいか、そのブランドらしいかといった点が含まれます。牛乳であれば牛乳らしい、ビールであればビールらしいデザインでないと、消費者の選択肢に入るのは難しくなります。Cのコンセプトは、商品のベネフィットが消費者に伝わっているかという視点です。Dのアイデンティティーは、デザインの中にアイデンティティーとなり得る要素があるかどうか。Eはその商品を使ったときに何か思い出に残るような経験を生み出す仕掛けがあるか。この5点が評価基準になります。
パッケージデザインを評価するという作業は慣れないと大変難しいことです。まずはデザインをじっくりと時間をかけて見てください。消費者は一瞬しか見ませんが、作り手はじっくりと見なければ、デザインを評価したり、いいデザインをつくったりすることはできません。このABCDEの基準をオリエンシートや調査票などに反映させることも有効です。大切なのは組織共通の評価軸を持ち、事前に今回どういった点を評価するのかというポイントを明確にしておくことです。