パッケージデザインはマーケティング活動における重要な要素だ。パッケージデザインの制作・評価に携わって20年の著者が、経営者やマーケター、ブランド担当者が知っておくべきパッケージデザインの鉄則をまとめた新刊『売れるパッケージデザイン 150の鉄則』(小川 亮著、日経BP)から、特に重要なポイントを抽出した連載の第2回。
デザインの出来の7割はオリエンテーションで決まる
オリエンテーションとは、デザイナーに対して、これからデザインしてもらう商品がどういった商品なのか、マーケティング目標、コンセプト、競合の状況はどうかといった、デザイン制作に必要な情報を伝達する大切なステップです。デザイナーの中には、このオリエンテーションの最中に、ふとアイデアが浮かび、それがそのままデザインとなる場合もあるようです。
オリエンテーションでは、十分な情報を丁寧に与えることが必要です。発注側の社内では何度も使われている言葉でも、気づかないうちに業界用語、社内用語となっていることが多く、かみ砕いて説明する必要があります。また、その商品に込めた思いや、ポジショニング、求めるデザインのテイストなどについても、オリエンテーションの時点でしっかりとデザイナーに伝えておくべきです。
そもそもデザインイメージというのは伝えにくいものです。文字情報以外のビジュアル情報も用意し、デザイナーとディスカッションすることが重要です。オリエンテーションは一方的に情報を伝えるというよりも、デザイナーとの会話の中で、目指すべきデザインのイメージがぼんやり見えてくるようなやりとりが理想的です。そのためにも、十分な情報を準備し、ディスカッションしやすい雰囲気づくりに努めましょう。クライアントによっては、最初に少し笑い話をする方もいます。そうすることで、ふと浮かんだアイデアを共有しやすくなります。
オリエンテーションの際に伝えるべき情報は、大きく6つあります。ネーミングやポジショニング、技術面などの【商品に関すること】、商品コンセプトや訴求ポイントなど【コンセプトに関すること】、デザインイメージなどの【デザインに関すること】、使う人やシーンなど【ターゲットに関すること】、マーケティング政策に関わる【戦略に関すること】、納期や予算など【条件に関すること】です。