パッケージデザインはマーケティング活動における重要な要素だ。パッケージデザインの制作・評価に携わって20年の著者が、経営者やマーケター、ブランド担当者が知っておくべきパッケージデザインの鉄則をまとめた新刊『売れるパッケージデザイン 150の鉄則』(小川 亮著、日経BP)から、特に重要なポイントを抽出した連載の第1回。

パッケージデザインの5つの役割

 マーケティング活動において、パッケージデザインが果たすべき役割は5つあります。

1.商品価値の創造
 パッケージデザインは商品価値の一部です。使い勝手を向上させたり、中身を保存・保護する機能を充実させたりすることで顧客の利便性を上げるといった機能的な面で商品価値を実現します。また、食品ならば「おいしそう」、医薬品ならば「よく効きそう」といった情緒的価値をパッケージデザインによってつくり出すこともできます。

2.コンセプトの伝達
 多くの新商品が並ぶ店頭では、顧客にその商品の良さを短時間で伝達することが必要です。店頭で見られる一瞬のうちに、商品のベネフィットを伝え、手に取ってもらう。これがパッケージデザインの役割です。また、商品が伝えたいイメージを形やビジュアルで情緒的に表現することもパッケージデザインの大切な役割です。

3.コミュニケーションの設計
 パッケージデザインと広告・PR・SP・WEB・SNSといったメディアにおいては、一貫して同じ情報を伝えていく必要があります。それによって、強く効率的なコミュニケーションが実現します。パッケージデザインは多くの場合、広告に先駆けて、コミュニケーションプランの最初につくられます。その場合には、最初に全体を通じて届けるべき一貫したメッセージやイメージを設計した上で、パッケージデザインを進めていくことが求められます。

4.経験価値をつくり出す
 パッケージを購入してから廃棄するまで、購入する人、使う人にどのような思い出や経験をプレゼントできるかを考えます。商品そのものではなく、商品を通じて得られる価値を経験価値といいます。パッケージは買ってから使用時、廃棄時まで様々な価値ある経験をつくり出すことが可能です。

5.ブランド資産の形成
 パッケージデザインは、顧客の記憶に残る大切なブランド資産です。ブランドイメージをつくるに当たり、パッケージデザインに様々なイメージ・情報を集約して、記号として顧客に印象付けることができます。色、ロゴ、キャラクター、写真、形など、パッケージデザインを形成する様々な要素を記号化し、顧客のイメージの中にブランド資産を形成します。

パッケージデザイン5つの役割
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