角川書店を離れ、1995年に自身の出版社「角川春樹事務所」を立ち上げた角川の課題は、柱となる新たな作家の発掘と育成だった。今でも1日1冊、年間365冊もの本を読むという角川春樹。2008年に彼の目に留まった1人の作家が『みをつくし料理帖』の原作者、髙田郁だった。
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角川を感動させた「特A」ランクの1冊
1995年、角川春樹は角川書店から離れ、出版社『角川春樹事務所』を立ち上げた。このとき、角川書店で付き合いのあったほとんどの作家と関係が切れている。そのため角川春樹事務所は、柱となる新たな作家の発掘と育成に迫られた。
「編集会議では(編集部員から)毎回10点前後の企画が上がってくるわけですよ。90%くらいの企画にはすでに本がある。もちろん(作品として)本のない書き手もいます。それでも企画次第では編集者を会いに行かせて書いてもらうこともあります」
誰に書かせるか――その判断基準は角川の中にある。
「感動させるか、笑わせるか、何でもいいんです。私にアクションを起こさせようと思わせる何かがあること」
編集会議に上がってきた書き手の作品を含めて、角川はほぼ1日に1冊を読んでいるという。
「自社、他社、そして(作家の)有名無名にかかわらず、1年間で365冊読んでいます。それを52年間続けてきた」
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