
日本で唯一のカード国際ブランド運営会社であるクレジットカード大手のジェーシービー(JCB、東京・港)は、自社が提供するカード、QRコード、電子マネーの3本柱でキャッシュレス決済の普及を図る。QRコードを用いてカードでは開拓できなかった店への導入に挑戦しつつ、会員(ユーザー)向けサービスは2021年度以降に充実させる。創業60周年に当たる21年が勝負の年だ。
「JCBは『クレジットカード』『QRコード』『電子マネーなどを含む、クレジットカードにひも付けた非接触決済』の3本柱を自社で提供し、キャッシュレス決済の普及を図っていく」
こう語るのは、JCBで加盟店開拓などを手がけるモバイルペイメント部Smart Code室室長の川口潤氏だ。クレジットカードとは、日本で唯一の国際ブランド「JCB」のクレジットカードを、QRコードとは、1つのQRコードを示すだけで対応したQRコード決済すべてを可能にするスキーム「Smart Code(スマートコード)」を、そしてクレジットカードにひも付けた非接触決済とは、電子マネー「QUICPay」を、それぞれ指す。
キャッシュレス決済が多様化する中、JCBとしてこの3本柱をラインアップとして提示し、加盟店やユーザーに、ニーズに応じて使い分けてもらって普及を促す。それぞれの利用が増えれば、JCBの収益拡大につながるという考えだ。
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川口氏は、「会員向けのキャンペーンはもちろん実施するが、QRコード決済事業者の多くが実施しているような、大型還元キャンペーンを繰り返して普及を図るという手法は取らないつもり」と強調する。実際、カードやスマートフォンを端末にかざすだけで決済できるQUICPayの利用金額は、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で非接触決済の重要性が見直されたこともあり、2020年春以降、大規模な販促策を展開しなくても、昨年対比で自然に伸びている」(川口氏)。
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