進む非接触決済 クレカはどうする?

新型コロナ禍で決済にも「非接触」が求められるようになり、キャッシュレス決済の普及が進む。その中で目立つのが、会員数・加盟店数とも最大の担い手でありながら、この2年ほどコード決済事業者の勢いに押されていたクレジットカード会社の攻勢だ。スマートフォンへの対応を軸に、会員(ユーザー)の利便性向上に努めたり、加盟店の開拓に注力したり、さまざまな手立てで名実ともに“主役”に返り咲くことを目指している。クレジットカード会社の置かれている現況を読み解き、未来への一手を追った。

ICチップ化がコロナ禍での非接触決済を可能にし、逆襲に転じたクレジットカード(写真/Shutterstock)
ICチップ化がコロナ禍での非接触決済を可能にし、逆襲に転じたクレジットカード(写真/Shutterstock)

 「2025年までにキャッシュレス決済比率を、消費者の最終支出に占める割合ベースで、現状の20%から40%へと高める」

 政府が掲げるこの目標は、少しずつだが着実に達成されつつある。経済産業省商務・サービスグループキャッシュレス推進室が20年6月23日に開催した「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会(キャッシュレス検討会)」第2回で公表した資料によると、日本のキャッシュレス決済比率は17年の21.3%から18年には24.1%、19年には26.8%へと上昇している。

キャッシュレス決済比率の内訳の推移
キャッシュレス決済比率の内訳の推移
キャッシュレス決済比率はそれぞれの決済手段の支払額を民間最終支出(内閣府「国民経済計算[名目]」による)で割って計算(出所/経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」第2回資料 資料3)

 さらに政府は19年10月から20年6月まで、店頭でキャッシュレス決済をしたユーザーに対してポイントを還元する「キャッシュレス・消費者還元事業」を自ら旗を振って展開。次いで、加盟店が決済事業者に支払う決済手数料の高さがキャッシュレス決済普及の妨げになっていると見るや、金融庁や公正取引委員会が銀行間決済をつかさどる全銀システムの手数料までやり玉に挙げ、手数料の引き下げに向けて、金融界全体に“圧力”をかけ始めた。目指しているのは、全国津々浦々までキャッシュレス決済を普及させ、決済比率を引き上げることだ。

 こうした動きを追い風に、キャッシュレス決済の普及を推進してきたのは、「PayPay」を運営するPayPay(東京・港)や「楽天Pay」を運営する楽天ペイメント(東京・港)などに代表される新興のQRコード決済事業者だ。前述の経産省の資料によれば、クレジットカード利用分およびクレジットカードチャージ分などを除くQRコード決済の利用金額は、18年(1568億7600万円)から19年(9607億9400万円)にかけて、約6倍に伸びている。

QRコード決済の利用金額の推移(2018年~2019年)
QRコード決済の利用金額の推移(2018年~2019年)
QRコードで決済された金額(「店舗利用金額」)から、クレジットカードにひも付けて決済されたり、クレジットカード経由でチャージされて利用された金額(「うち、クレジットカード等」)を引いた金額(「クレジットカード等を除いた店舗利用金額」)に着目すると約6倍に伸びている。実態は、ひも付けた銀行口座からのチャージや現金チャージなどでためた“残高”からQRコード決済で利用された金額を指す(出所/経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」第2回資料 資料3)
店頭にQRコードを多数置かなければならない状況は、店に負担になっている(写真/志田彩香)
店頭にQRコードを多数置かなければならない状況は、店に負担になっている(写真/志田彩香)

 これに対し、QRコード決済事業者が躍進し始めた18年半ばから20年に入ったころまで、それまで数十年の長きにわたってキャッシュレス決済の普及に努めてきたはずのクレジットカード会社の動きは目立たなかった。

 会員(ユーザー)に対してQRコード決済事業者ほどの大規模還元キャンペーンは打ち出せず、加盟店に対しても、QRコード決済事業者の多くが期間限定ながら決済手数料率ゼロを打ち出す中、政府が「キャッシュレス・消費者還元事業」を展開し始めるまで、多くのカード会社は決済手数料率を引き下げられなかった。QRコード決済の支払いを手持ちのクレジットカードにひもづける会員(ユーザー)が一定数いて、カードの決済頻度は増えこそすれ急減はしていなかったため、当面、様子見を決め込んだとみられても仕方がなかった。

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