「営業DX」急成長 最新版カオスマップから分かる“4つの変化”(画像)

新型コロナウイルスの感染拡大で対面営業やリアルイベント開催が難しくなり、営業や商談のオンライン化が一気に浸透。営業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が急成長している。そこで、デジタル技術を活用した営業支援サービス「セールステック」を営業プロセスに合わせて整理した日本版「セールステック・カオスマップ」2021年版を作成。ここから分かる“4つの変化”とは?

コロナ禍で営業や商談のオンライン化が一気に浸透(写真/Shutterstock)
コロナ禍で営業や商談のオンライン化が一気に浸透(写真/Shutterstock)

 「2020年は営業DXがかなり動いた」と、セールステック・カオスマップを共同で作成したマツリカ(東京・品川)共同最高経営責任者の黒佐英司氏は振り返る。

 ここでは、日本版「セールステック・カオスマップ」2021年版のポイントをひもといていくことで、コロナ禍以後の営業DXの変化を掘り下げていきたい。

【特集】コロナ後の「営業DX」大潮流
【第1回】 「営業DX」急成長 最新版カオスマップから分かる“4つの変化”←今回はココ
【第2回】 EventHubは売り上げ20倍 「イベントDX」が新規顧客開拓の主役に
日本版「セールステック・カオスマップ」2021年版ではツールの数が前回の101から134に増えた。「見込み顧客の発掘」「商談機会の創出」「契約」「アップセル/クロスセル」「顧客のロイヤル化」の5つの営業プロセスに合わせて、各社のサービスをマッピング。日経クロストレンドとマツリカ(東京・品川)で共同作成
日本版「セールステック・カオスマップ」2021年版ではツールの数が前回の101から134に増えた。「見込み顧客の発掘」「商談機会の創出」「契約」「アップセル/クロスセル」「顧客のロイヤル化」の5つの営業プロセスに合わせて、各社のサービスをマッピング。日経クロストレンドとマツリカ(東京・品川)で共同作成

 2019年末に初めて作成したセールステック・カオスマップでは、営業プロセスを以下のように分類した。リード獲得などを目的としたマーケティングフェーズの「見込み顧客の発掘」、契約を受注するための営業活動フェーズの「商談機会の創出」「契約」、LTV(顧客生涯価値)の最大化を狙うCRM(顧客関係管理)フェーズの「アップセル/クロスセル」「顧客のロイヤル化」の5つだ。この各プロセスで今回新たに追加した項目を、営業DXにおける変化と併せて解説していく。

【変化1】オンラインでの営業・商談とリード獲得ニーズ高まる

 まず「見込み顧客の発掘」「商談機会の創出」の段階では、新たに「Event/Seminar Management」の項目を追加した。セミナーやイベントはリード(見込み客)獲得の重要なツールだ。新型コロナウイルス感染症拡大によって実施が難しくなり、ウェビナー(オンラインセミナー)を実施する企業が増えた。そうしたオンラインイベントを管理するツールがこれに当たる。動画配信やリード管理など、イベント運営に必要な機能が網羅されている。主なプレーヤーは「EventHub」「EventRegist」「Sansan Seminar Manager」だ。

 そうして獲得した見込み客と商談する仕組みとして、「Online Meeting(オンライン商談)」ツールの導入も進んだ。「ベルフェイス」を展開するベルフェイス(東京・渋谷)取締役の西山直樹氏は 「営業のDXは5年くらい早く進んだ印象だ」と驚きの声を上げる。同社はあらゆる業種の営業を変革することを掲げて創業したが、実態として顧客企業の中心はSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)事業者やオンラインメディアなどWebサービスを幅広い層に販売する業種などにとどまっていた。製造業や金融、不動産といった、営業の人数や市場規模が大きい既存の業界への導入は進みにくかった。

 これが一変した。新型コロナウイルス感染症拡大後は不動産や大手金融の利用が急増。例えば、ハウスメーカーやマンションデベロッパーは住宅展示場に見込み客を呼んで対面で営業することが一般的だったが、それが一切できなくなった。見込み客との唯一のコミュニケーション手段は電話だが、電話だけで家を売るのは難しい。そのため、オンライン商談に踏み切る企業が相次いだ。ベルフェイスは20年3~5月にかけて無料でサービスを利用できるキャンペーンを実施していたこともあり、同期間で1万2000社が登録したという。

 ベルフェイスが選ばれる大きなポイントはセキュリティーだ。一般的なWeb会議システムは資料を取引先に見せる場合、画面共有を行う。だが、金融業界など機密情報を扱う企業は、画面共有時に操作を誤って相手の画面に機密情報を映し出してしまうリスクがあるため、画面共有が全社的に禁止されているケースもある。一方、ベルフェイスは上司の承認を得た資料しか、画面共有時に選択できない。「その時点で、ベルフェイス一択になる」(西山氏)。

【変化2】商談フェーズで「動画活用」が加速

 ただ、業種によってはオンライン商談だけでは受注に至らない場合もある。テキストや図などの資料だけでは、耐久性といった製品の特徴が伝わらないケースがあるからだ。その手助けとなるのが「Video Sales」。これもセールステック・カオスマップ2021年版で新たに追加した項目だ。スマートフォンやパソコンを使い、社内で動画を簡単につくれるツールがBtoB領域でも使われるようになった。「ツール全体を説明するようなデモ動画だけでなく、顧客がある機能を使ってやりたいことがあったとすると、その実際の操作を動画に落とし込んで10秒で分かるような動画を作る。チュートリアルのように組み込むパターンもあるし、目的別に動画を準備して出していくこともある」(黒佐氏)。

 「1Roll」や「RICHKA」は用意されているテンプレートを選び、それに沿って素材を集めるだけで簡単に動画がつくれるツール。製品紹介動画などもあっという間につくれる。また、一風変わったツールが「VYOND」だ。あらかじめ用意された素材を組み合わせることで、営業に使えるアニメーションが制作できる。

 プロダクトの機能説明動画を業種別に作って営業するような活用法も増えているという。「例えば我々のようなSaaS事業者であれば、SaaSは使う業種によって使い方も変わるので、分かりやすい利用事例を見せてどう使えばいいかをイメージしてもらう。顧客のほうでも動画を見て情報をインプットすることが当たり前になっており、早く情報を収集できる方法として広がった。動画ならURLのリンクを貼ったりはめ込んだりできるので、活用の自由度も高い」(黒佐氏)。

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