
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、医療こそDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められている分野と言える。バイオ系スタートアップのアメリエフ(東京・墨田)は、あらゆる情報を検索可能としたグーグルのように、多彩な医療・ヘルスケア情報を集約するネット基盤の構築を目指す。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査で、医療機関や保健所あるいは自治体との情報のやり取りに、FAXという時代遅れの手段が使われていることが話題になった。こうした医療の分野でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が急務であることは間違いない。「グーグルが検索でネット広告のマーケティングデータを抑えたように、我々は医療や介護の現場で起きているアクションを抑えるプラットフォームを作り、新薬の開発や未来のヘルスケアに役立てる」と話すのは、アメリエフ(東京・墨田)の山口昌雄社長だ。
遺伝情報とITを掛け合わせ
アメリエフは、理化学研究所の出身で遺伝統計学の専門家である山口氏が2009年に創業した。遺伝情報をITの手法で解析する技術「バイオインフォマティクス」を強みとする。ヒトのゲノムは30億の塩基対からできている。それぞれの遺伝子がどんな機能を持っているのか、いまだに明らかではない部分も多い。そうした遺伝情報の膨大なデータを検証し、「論文やデータベースを参照しつつ、この因子とこの因子が関係している、連鎖反応を起こしていると予測するのは専門のデータサイエンティストでなければできない」(山口氏)。
設立:2010年3月(創業は09年7月)
製品/サービス:バイオインフォマティクス技術、AmeliCure(アメリキュア)
市場:医療とITをつなぐライフデータサイエンス

医療機関や企業の研究施設は、試料を外部のゲノム解析業者などに委託し、遺伝情報を取得する。その遺伝情報は、それぞれの研究所で分析しようとしても「専門のデータサイエンティストがいなければ、人手も技術も足りず、研究が止まってしまう」(山口氏)。データをいかに解釈し、次のアクションにつなげるか。アメリエフは「そうしたデータ分析の自動化を担い、研究のDXを進める」役割を果たしていると山口氏は説明する。
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