
コロナ禍で大きな打撃を受ける中、多くのスタートアップが未来の市場を作り上げようと奮闘している。観光業を軸としてきたアソビュー(東京・渋谷)もその中の1つ。売り上げ95%減という深刻なダメージからどう復活を遂げたのか。特集の特別編として山野智久CEO(最高経営責任者)に聞いた。
コロナ禍で大打撃を受けた観光・レジャー産業。そんな中で、遊びや体験、レジャーのチケットを予約できるサイト「アソビュー!」を運営するアソビューも、2020年4月から2カ月間、売り上げが前年比マイナス95%になるという深刻なダメージを受けた。だが、冷静に世情とマーケットを分析、乗り切るための施策を打ち立てることで、20年8月には売り上げが前年同月比約230%の成長率を記録。宿泊・外食市場を基準に換算した市場トレンドが7、8月では前年比マイナス46%程度だった中、鮮やかなV字回復を果たした。
「20年2月から影響が出始め、ゼロの売り上げを重ねていく恐怖や絶望はもちろんだが、メディアや省庁によっても見解が異なり、この状況がいつまで続くのか分からなかったことの方が不安だった」と、アソビューCEOの山野智久氏は当時を振り返る。
そこで、医療や疫学の専門家から直接一次情報を収集。「新型コロナウイルス感染症の影響が収束するまでを2年間と想定し、その期間をまず生き延びる」という方針を固めた。その上で、「この有事の間は、会社を存続するためにすべての施策をトップダウンで意思決定する」と宣言したという。
「11年の創業から10年弱がたって組織が成長し、多くのことを経営幹部や現場に任せられるようになってきていた。だが、今回は一刻一秒を争う緊急事態。誰もがどう進んだら正解か分からない状況下で、ディスカッションしている時間はない。私がやると言ったことを実行する体制にさせてくれとメンバーに談判した。具体的には、少しでも売り上げを積み、コストを減らすための施策を打つというシンプルな手段を講じるということ」(山野氏)
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