革新を起こす企業を選出する「未来の市場をつくる100社」特集。第5回は、“デジタルコンビニ”とうたう、デリバリーサービス「QuickGet」を展開するクイックゲット(東京・港)を紹介する。アプリと購買データを駆使したDX(デジタルトランスフォーメーション)運営を武器に、リアル店舗とECに続く、第3の選択肢として躍進する可能性を秘める。

前回(第4回)はこちら

「QuickGet」を展開するクイックゲット(旧レキピオ)創業者でCEO(最高経営責任者)の平塚登馬氏(左)と、共同創業者でCTO(最高技術責任者)のRohit Funde氏
「QuickGet」を展開するクイックゲット(旧レキピオ)創業者でCEO(最高経営責任者)の平塚登馬氏(左)と、共同創業者でCTO(最高技術責任者)のRohit Funde氏

 飽和状態が近づくコンビニ、市場縮小に見舞われるスーパーマーケット、競争が激化するドラッグストア……。岐路に立つ小売業界を激変させる可能性があるサービスが誕生した。

 「30分以内になんでもお届け」。こんなふれこみで利用者が拡大中の「QuickGet(クイックゲット)」だ。

 デジタルコンビニと銘打ったサービスで、AIを活用した献立提案アプリを提供していたレキピオ(現クイックゲット、東京・港)が事業を大幅に転換し、2019年11月にβ版をリリース。20年9月に正式ローンチを発表した。

 現在は東京・六本木を中心とした半径2.5km程度の1エリアのみの展開だが、既に注文用の専用アプリのダウンロード数は数万を突破。専用アプリからオーダーするだけで、30分以内にさまざまな商品をデリバリーしてくれる。驚くのはその取扱商品の幅だ。一般的なコンビニに売っているような菓子や即席食品、おにぎり、弁当、飲料・酒などに加え、日用品や衛生用品、美容関連、文具、下着やワイシャツなどの衣類までラインアップ。さらに、高級スーパーなどで扱っているワインや調味料、ホームセンターなどで取り扱う工具まである。「コンビニに並ぶ商品だけでなく、欲しいものがいつでも買えるように総合店舗の品ぞろえを目指している」(クイックゲットCEOの平塚登馬氏)という。配送料は一律250円(税込み)とデリバリーとしては低廉なうえ、価格はコンビニなどのリアル店舗と同水準なので注文しやすい。

アプリでユーザー登録をした後、商品を選択して注文するだけで、30分以内に商品が届く。配送料は一律250円(税込み)。注文金額が800円未満の場合は、手数料200円(同)が加算される
アプリでユーザー登録をした後、商品を選択して注文するだけで、30分以内に商品が届く。配送料は一律250円(税込み)。注文金額が800円未満の場合は、手数料200円(同)が加算される
現状では東京・六本木を中心としたエリアで展開(画像は20年12月中旬時点の配達可能エリア)。注文可能時間は朝9時から深夜0時までで、同エリアで購入代行サービスもスタート
現状では東京・六本木を中心としたエリアで展開(画像は20年12月中旬時点の配達可能エリア)。注文可能時間は朝9時から深夜0時までで、同エリアで購入代行サービスもスタート
社名:クイックゲット(東京・港)
設立:2017年9月
製品/サービス:QuickGet(クイックゲット)
市場:何でもデリバリー

「データドリブン」で配送時間とコストを最適化

 なぜこれほど多様な商品を、安価な配送料で、しかも市価に近い商品価格でデリバリーできるのか。ここにクイックゲットの革新がある。

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