自動運転の領域で米国と並び最先端を行くのが中国だ。中国における自動運転と、自動運転に不可欠な車載OSの現状を清華-日経メディア研究所の研究員が解説する特集の第1回。2030年までに国内自動車市場に占める完全自動運転車の割合を10%にするという長期の展望を掲げ、研究・開発に取り組む中国の自動車メーカーの動向を追った。
中国の「自動運転」が発展する見通し
AI(人工知能)と自動車技術の発達によって、「自動運転」が自動車メーカーやIT大手に注目されている。米国の自動車技術者協会(SAE)が2014年に自動運転について定義をした。その定義に従えば、自動運転はL0からL5までの6段階に分けられる。
中国では20年3月9日に「自動車運転自動化レベル基準」が公開され、21年1月から独自の基準によるレベル分けが適用される。SAEに比べ、L3についての基準が若干低くなるが、それ以外の基準はほぼ同じである。また、公開されたばかりの実施前の基準なので、現時点では中国国内で自動運転の段階に関するL3の基準は、基本的にはSAEの基準と同等とみられる。
また、中国自動車工業協会が16年に公開した自動運転に関する技術基準「省エネと新エネルギー自動車技術ロードマップ」によると、中国では20年までに自動車の生産台数を年間3000万台、そのうち運転補助・部分自動運転で50%、25年までに自動車の生産台数を年間3500万台、そのうち先進運転支援車で15%、30年までに自動車の生産台数を年間3800万台、そのうち完全自動運転車で10%を、それぞれ占めるように計画された。
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