日経クロストレンドFORUM 2020では、マーケティングのヒントにつながる様々なセッションを開催している。2020年11月16日には「バズの先にある動画コンテンツのつくり方」と題して、数々の動画コンテンツをバズらせてきたCHOCOLATE(チョコレイト)の栗林和明CCO(チーフコンテンツオフィサー)が、動画マーケティングに必要な「3つの要素」を解説した。モデレーターは日経クロストレンドの吾妻拓編集長。

CHOCOLATE CCO/企画屋の栗林和明氏
CHOCOLATE CCO/企画屋の栗林和明氏

 映像を軸に様々なコンテンツを作り出しているCHOCOLATEで映像企画、空間演出、商品開発などを担う栗林和明CCOは、「6秒商店」「縦型スマホジャックMV」「忍者女子高生」「ハロー!ブランニューワールド」など数々の動画コンテンツをソーシャルメディアでバズらせてきた。

 10万本を超える映像分析を積み重ねてきたという栗林氏はマーケティングにおける動画コンテンツの作り方について、まず「バズコンテンツのつくり方」と「その先にあるもののつくり方」の2つに分けた。「バズコンテンツは研究やロジックの積み重ねによる理性で作れるもので、まねしやすい。しかしその先にある“本当に話題になるもの”を作るには、感覚的なものや感情的なものが必要になってくる」という。

 栗林氏はバズるコンテンツを作るには世界中のバズったコンテンツに内包されている“バズのツボ”を押さえるべきとして、これまでの分析で導き出した6つの原則、80の切り口、バズる構造を図解で紹介した。ただし大事なのは、何がバズって広がるのかが分かる体質を作ることだという。

バズるコンテンツの6つの原則
バズるコンテンツの6つの原則

 「バズったコンテンツは、再生数やシェア数など数字で明確に見えるため分析しやすい。しかし肌感覚がないと、分析したことを再現するのは難しい。“こういうものが流行るんだ”と自分の頭と体で理解することが必要」(栗林氏)と語る。

 バズるコンテンツが分かる体質を作るのに必要なのは「バズコンテンツの一覧化」「理由の共通点を見つける」「試す」の3つが連なったフローだという。バズコンテンツの一覧化とは、例えばツイッターでバズっているツイートを見つけたら「いいね」をつけておくことだ。その「いいね」リストを振り返ることで、バズって広がるコンテンツの共通点を見つけ出す。そして見つかった共通点を盛り込んだコンテンツを作って実際に試し、その結果を学習して一覧化に役立てることで、バズる精度を上げていくというのものだ。

バズるコンテンツを作る体質を養うためのフロー。「忍者女子高生」はこのフローから生まれた
バズるコンテンツを作る体質を養うためのフロー。「忍者女子高生」はこのフローから生まれた

その先にあるもののつくり方

 動画がバズって話題になっても商品の売り上げに結びつかなかったり、人の記憶に残らなかったりすることは多い。栗林氏それはバズの弱みから来るものだという。

 バズには強みと弱みがある。強みとは一瞬で世界中に広がることや、人から伝わることで信頼してもらいやすいこと、メディア費がかからないことだ。弱みは、消費スピードが速くて一瞬で忘れられてしまうことや、個人が伝えたいように伝えるのでコントロールしづらいこと、企業にとって商品との乖離が生まれてしまうことだ。

 栗林氏は、消費されず、コントロールできて、商品との乖離が生まれないバズはあるという。そのカギは「共感」だ。

 「人がコンテンツを求めるのは共感するため。共感することで自分の考えを肯定したり、“これでいいんだ”と前に進んだりできる。共感して感情移入したものは記憶に残る」(栗林氏)

 そして共感に必要な3つの要素として「純度」「蓄積」「物語」を挙げた。

 「純度」とは、人の感情や気持ちが素直に伝わることで共感が生まれることを指す。「蓄積」とは、継続して長く続けてきたことから共感が生まれること。「物語」とは、語りたくなるような背景があることで、そこに感情移入し共感が生まれることだ。

消費されないバズを生み出すカギは「共感」。そのために必要な3つの要素が「純度」「蓄積」「物語」
消費されないバズを生み出すカギは「共感」。そのために必要な3つの要素が「純度」「蓄積」「物語」

 栗林氏は注目しているツイッターアカウントなどを例として紹介しながら3つの要素を説明し、企業がこれらを踏まえて心に残るバズを生み出すための方法を紹介した。

 SNSなどで人がメディア化した時代に、どうコミュニケーションをしていくか。そのひとつの答えがバズではないかと語る栗林氏。「嘘を言わない、偽らないことがとにかく大事。本当に思っていないことは言わないこと」と講演を締めくくった。

(出所/日経クロストレンドFORUM 2020)

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