※日経エンタテインメント! 2020年12月号の記事を再構成
コロナ禍では芸能人のYouTube参入が相次ぎ、エンタテインメント業界においてYouTubeの存在感がますます強くなっている。市場の変化や傾向について、2015年7月からYouTubeチャンネルの統計情報などを扱う『yutura(ユーチュラ)』の管理者で株式会社オモシロ代表取締役の堂馬佑太氏に話を聞いた。
──最近のYouTubeの勢いをどう感じていますか。
YouTubeの動向を調べるサイトを管理し始めた約5年前、チャンネル登録者数100万人を突破していたのは、HIKAKINさんやはじめしゃちょーさんといったほんの一握りのトップYouTuberだけでした。それが今や登録者数100万人超のチャンネルは200以上。テレビにもYouTuberが出演するようになりました。ここ半年間の勢いは特にすごいと感じています。
これまでは20代から下の層がYouTubeのメイン視聴者でしたが、コロナ禍の自粛期間で30代~50代の視聴者も増えたのではないでしょうか。それは、とんねるずの石橋貴明さんの成功で実感しました。石橋さんがYouTubeデビューすると聞いたとき、私は成功に対して懐疑的だったんです。とんねるず世代は30代後半以上が中心。若者がメイン視聴者のYouTubeに参入したところでどれだけ人気を得るのか疑問だったからですが、ふたを開けてみたらあっという間に登録者数100万人を突破。やはりYouTube視聴者の年齢層が上がっていると共に、視聴者の数そのものが増加しているということでしょう。
芸能人がYouTubeで成功するポイントは、スタートダッシュをいかにうまく切るか。自分の知名度を数字に変えて先行ダッシュできるかが重要なポイントだと思います。最近だと手越祐也さんが、ジャニーズ事務所退所で話題が集まっていたタイミングでYouTubeを開設しました。この知名度を数字に変える手法は一般人YouTuberには絶対にできないことですから、芸能人のYouTubeはスタートが肝心ということができるでしょう。
──SNSではTikTokも動画をメインにしたプラットフォームです。インスタグラムもリールという動画機能を今年8月にローンチするなど、短尺動画に特化した表現の幅は広がりを見せています。それらはYouTubeにどんな影響を与えると思いますか。
視聴スタイルが多様化していく流れは今後も変わらないと思いますが、YouTubeの市場規模は今後もますます大きくなっていくでしょう。コロナ禍で動画の役割にも変化が訪れました。時代的にもSNSでの活動は避けて通れません。そんななか、マネタイズという観点で見るとツイッターやインスタグラムに比べ、YouTubeで成功することは大きい。今後も有名人が参入する流れは続くと予測しています。
ここ最近だと今年6月にチャンネルを開設したアンジャッシュの児嶋一哉さんが多くの視聴者から高評価を得ています。出演ドラマ『半沢直樹』に絡めた動画は2本とも100万回再生を超え話題になりました。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー