ビジネスの新潮流を探るべくベンチャーキャピタル(VC)を訪ねる連載の第5回は、米シリコンバレー発で、大企業とスタートアップの共創を支援するプラットフォームPlug and Play Japan。インシュア(保険)テック、フィンテック&リテール、IoTの各領域のトレンドを同社の担当者に聞いた。
保険領域では、仲間で入る“ニッチ共済”に注目
――保険業界では2019年に健康増進型保険(日々運動などを行うと保険料の割引や特典が付く商品)が登場し、話題になりましたが、最近の動きはどうでしょうか。
李暢(チャン・リー)氏(以下、李氏) 健康増進型保険は、保険会社にとって19年までの一番の関心分野でしたが、20年以降、ブームはやや沈静化しています。被保険者は日々デバイスを装着し、取得した様々なデータによって保険料を削減する仕組みで、そもそも被保険者に強制的にデバイスを着けてもらうことは難しい。もう1つ、データによって健康であると認められた人の保険料を下げることにも限界があります。
それよりも、最近ではよりカスタマー体験を便利にするサービスやスタートアップが増えてきたことに注目しています。例えば、IB(アイビー、東京・渋谷)という企業もその1つです。顧客が加入する生命保険や損害保険、自動車保険などを一括管理できるアプリ「保険簿」を提供。万が一のときに保険の請求漏れを防ぐことができ、満期日を自動的にリマインドしたり、入院時に加入している保険を即座に確認したりすることも可能です。
また、justInCase(ジャストインケース、東京・中央)が展開する、日本初の「わりかん保険(P2P保険)」も注目です。加入者はがん診断時に一時金80万円を受け取ることができ、保険料は、毎月使われた保険金の合計を算出し、契約者数で割った金額に管理費を加えた額を「後払い」で徴収するシステムです。月額保険料は最高でも500円で、すぐに加入でき、透明性が高く、既存のがん保険より安価であることがメリット。ただし、少額短期保険のため受け取れる額が小さい点は課題でしょう。
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