ウィズコロナによって、生活者の意識や行動は変容しつつある。そこで、ビジネスの新潮流を探るべく、ベンチャーキャピタル(VC)を訪ねた。第1回は、IT関連を中心に、国内外の有望なスタートアップに投資するサイバーエージェント・キャピタル(東京・渋谷)。社長の近藤裕文氏に、注目しているテーマや企業を聞いた。
サイバーエージェント・キャピタル社長
—— コロナ禍においても、テクノロジーを駆使し、果敢に挑むスタートアップが目立っています。コロナショックにより大きく変わった業界は。
近藤裕文氏(以下、近藤氏) 特に加速したのは、ECの浸透と細分化です。消費者側から見れば、ECであれば人と接触せず、外出の必要もないため、ステイホームの完結型の消費が、利便性とセットになって著しく伸びました。
「Amazon」など一般的な大手ECに加え、当初は「メルカリ」のようなC2Cも伸長しましたが、しばらくたつと生活者は、よりステイホームを豊かにするための商品を求めるようになりました。そこで、注目を集めたのが、作り手のビジョン、思い、製作の過程などがビジュアルや文章で物語として表現され、貴重な逸品を提供する、いわゆる「ストーリーコマース」の手法を使ったECです。
その代表格が、MONOCO(モノコ、東京・港)が展開する「MONOCO」。一品一品、スタッフが使用感や商品の特徴などを、写真や動画、文章で丁寧に紹介しています。他ではなかなか出合えない逸品もあります。例えば、たき火のような炎のゆらめきを楽しめる卓上オイルランプなど、まさに家での余暇時間をぜいたくに過ごせる商品もヒットしました。こだわりの商品に特化する細分化が奏功し、同サービスは急伸しています。同じ文脈で、全国のご当地の逸品を集めたニューワールド(東京・港)の「CRAFT STORE」も大きく伸長。旅行ができなくなり、地方の陶器市や名店に行く機会がなくなった代わりとして、利用が一気に進みました。
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