実践! ファンベース

日経クロストレンドは2020年10月27日に有料セミナー「日経クロストレンド・カレッジ ファンベース実践『はじめの一歩』」をオンラインで実施した。ファンベースカンパニーの佐藤尚之氏、津田匡保氏が登壇、ファンベースに取り組むときの「考え方」や「実践方法」について解説した。ここでは本特集の番外編(後編)として、カレッジ参加者から当日寄せられた質問に津田氏が回答する。

2020年10月27日に実施した有料セミナー「日経クロストレンド・カレッジ ファンベース実践『はじめの一歩』」。ファンベースカンパニーの佐藤尚之氏、津田匡保氏(写真)が登壇した
2020年10月27日に実施した有料セミナー「日経クロストレンド・カレッジ ファンベース実践『はじめの一歩』」。ファンベースカンパニーの佐藤尚之氏、津田匡保氏(写真)が登壇した

前回(第10回)はこちら

ファンミーティングの運営

コアファンに傾聴するファンミーティングは1回で十分でしょうか。それとも複数回行うほうが良い結果が出やすいのでしょうか。また、繰り返しミーティングを実施する場合、その都度メンバーを入れ替えたほうがいいのでしょうか

コアファンといえども、時がたてば何らかの理由で感情が変化していくこともあります。できれば1回で完了せず、定期的に同じ人にも会ったほうがいいと思います。行き詰まっていることへのヒントをもらいたいときは月1回実施してもいいくらいです。

 メンバーは替わってもいいですが、大事なのはコアファンだけを呼ぶこと。ファン度が薄い人は絶対に交ぜないでください。薄い人が交じると、他の参加者が影響されてしまいます。場の空気が壊れるし、同席している社員も疲弊してしまいます。意見や提案は聞けるかもしれませんが、ファンが愛するところを探していく上ではノイズになってしまいます。

傾聴の仕方が分かりません。つい質問したくなってしまいます

お気持ちは分かりますが、質問から始めるとどうしても誘導するような形になってしまうので、グッと堪えてください。質問はしないとはいっても、トークテーマは決めておくといいですよ。2つほどテーマを決めた上で、自由に話してもらいましょう。途中で話に入る際も質問はせずに、ファンの発言の深掘りをするつもりで。初めは戸惑うかもしれませんが、だんだん慣れてくると思います。

コアファンへのステップ

ライトなファンをコアファンにしていくための施策やきっかけづくりはどのようにしたらいいのでしょうか

ライトなファンがコアファンへの階段を上がるようなきっかけがあるといいですね。書籍『ファンベースなひとたち』にも登場したイケウチオーガニックは、コロナ禍でオンライン接客を始めました。この施策は、店に行けないけれど店員と喋(しゃべ)りたいというコアなファンのリクエストから生まれたもの。でも、結果的に新しい顧客が増えたそうです。オンライン接客で店員と触れ合ってコアファンになった人もいました。コアファン向けの施策がライトなファンの入り口になったいい事例だと思います。

コアファンがつい拡散したくなる施策はありますか

そもそも「拡散」という言葉がファンベースの考え方ではないです。薄く拡散をしても、今の時代誰も見向きはせず行動にはつながりません。それよりも、コアファンの熱量が高くなって、つい人に話してしまい、それに感化された人がまた自分の類友に伝えてくれることが理想です。不特定多数の人に薄く拡散してもらうよりも、自分と価値観が近くて分かってもらえそうな人にだけ伝えてもらえればいいのです。

 でもあえて施策というなら、コアファンが周りに伝えやすくなるような「体験やネタ」を意識するといいかもしれません。超久しぶりに会った友達に、いきなり「この水筒が使いやすいんだよ」なんて話しませんよね。でも、「ファンミーティングで○○という企業の社員に会ったら、とても感じ良かった」という話なら、きっかけになるかもしれません。ついつい話してしまいたくなるようなネタは大切です。

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