
ファンを起点とし、ファンと共に中長期的な成長を目指すファンベース。コロナ禍において、オンラインでの交流に注目が集まる中、SNSの重要性が増している。特集最終回は、日々ファンと対話をし、オンライン上にファンが集う場を積極的に生み出し、ファンの愛着を育むセガグループの公式Twitter「中の人」の秘密に迫る。
ファンベースの実践において、SNSは重要な役割を持っている。ファンと日常的に、継続してつながることができるためだ。コロナ禍においてリアルの交流が難しくなる中、オンラインでのコミュニケーションの重要性はさらに増している。
【第2回】 大ヒット『鬼滅の刃』に見るファンベース思考 徳力×津田対談後編
【第3回】 [漫画編]ネスカフェ アンバサダー ファンを起点に急成⻑のワケ
【第4回】 さとなお氏が聞く ネスレの成功に見る新規事業とファンベースの肝
【第5回】 [漫画編]安さだけじゃない! mineoファンが共感した社会的価値とは?
【第6回】 熱烈ファンの手でサービスが自走する mineoの実践ファンベース
【第7回】 [漫画編]多拠点生活サービスのADDress ファンを増やした「情緒価値」
【第8回】 ADDressに学ぶ ファン参加の極意は「あえて『隙』をつくる」こと
【第9回】 「ファンであることに自信を」 セガ公式Twitterのつながる力 ←今回はココ
ただ、特集第1回でも触れたように、現状では、単にマス広告と同じ情報を流すだけの“宣伝媒体”になっている企業も多い。重視している企業でも、バズることを期待した“拡散媒体”といった捉え方をされているケースも目立つ。そんな中、ファンベース的なSNS運用でファンとの濃い関係性を築いている企業もある。好例がセガグループだ。
家庭用ゲームに加え、業務用ゲーム機器の製造、さらにはアニメ作品や玩具まで、幅広い事業を展開するセガグループ。全体で350以上の自社アカウントがあるが、その入り口であり“顔”となっているのが、「セガ公式アカウント」(@SEGA_OFFICIAL)。フォロワー数は43万人を超え、企業アカウントの立場でセガらしさを体言し続けている。
少人数を呼び、手づくりのオフ会を開催するワケ
セガ公式Twitterの「中の人」は、2012年に運用担当となり、現在は公式運営だけではなく、350以上の自社アカウントの統括・利用促進も担っている。「ファンあっての業界であり、ファンとどのように歩んでいくのかを日々考えている」と、セガ「中の人」が語るように、硬軟織り交ぜた情報発信に加え、フォロワーとのコミュニケーションを積極的に行うのが特徴だ。セガ「中の人」は、ファンとの交流の重要性を感じ、ファンベースの提唱者である佐藤尚之(さとなお)氏の社会人ラボにも参加。ファンベース的運用を日々、実践している。
そのセガ「中の人」がファンベース視点を意識して取り組んでいるのが、「ファンが集える場所」をつくること。その象徴が、社員にリアルに会える「オフ会」だ。
18年3月と19年7月に、「#セガ公式アカウントオフ会」という名称で開催。招待者は初回が16人、2回目は32人と極めて少数で、セガ本社で行った。あえて人数を絞っているのには理由がある。「社員による手づくりのイベントでフォロワーへおもてなしをしたかったため」(セガ「中の人」)だ。イベント運営会社などには依頼せず、社員有志で準備。各テーブルには社員が着席して、フォロワーと直接話をするのも特徴だ。参加体験型にこだわったのに加え、全員個別にオリジナルの手書きメッセージカードを渡すなど、手づくり感も重視した。
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