ADDressに学ぶ ファン参加の極意は「あえて『隙』をつくる」こと(画像)

月額定額の多拠点生活サービスを展開するアドレス(東京・千代田)。新規性の高いサービス設計に、当初からどのようにファンベース視点を盛り込んできたのか。社長の佐別当隆志氏に、ファンベースカンパニーの津田匡保氏が話を聞いた。

ADDressの拠点は、全国約90カ所にまで拡大している
ADDressの拠点は、全国約90カ所にまで拡大している

ADDress漫画編(特集第7回)はこちら

※本インタビューは、書籍『ファンベースなひとたち』(2020年11月6日発売、日経BP)掲載分を一部改編・加筆したものです。
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津田匡保氏(以下、津田) サービス名の「ADDress(アドレス)」は、最初の3文字だけが大文字になっているんですね。

佐別当隆志氏(以下、佐別当) マイホームを買って1つの場所に住むという時代から、いろいろな地域に住んで複数の仕事をしたり、友達をつくったりして多拠点で生活できる社会をつくりたいと思って、加える、追加するという意味の「ADD」を強調しました。

 改めてアドレスのサービス内容を説明すると、月額4万円で全国に約90カ所ある拠点にどこでも住めるというもの。水道光熱費やネット回線料金などはすべて基本料金に含まれていて、初期費用もかかりません。各拠点は基本的には個室で、気軽に移動してもらえるように家具や洗濯機、調理道具など生活に必要なものを完備しています。

津田 新型コロナウイルス禍で在宅勤務をする人も増えました。影響はありますか?

佐別当 2020年3月以降は新規会員数も倍増し、6月からは3倍のペースで推移しています。メルマガ登録だけでも毎月6000人以上が新規で入ってきているので、急激に関心が高まっているという実感があります。

津田 提供する物件はどうやって見つけているのでしょうか?

佐別当 新築はせず、物件を探して適宜リノベーションしています。地方に行けば、手入れすれば住めるのに空き家になっている古民家や別荘がたくさんあります。それを有効活用していきたいんです。

 私たちとしては都市と地方で多拠点居住したい人の受け皿として機能しつつ、同時に地方が抱える空き家の問題を解決していきたいという思いがあります。双方の課題を解決して全国を活性化していくために、「全国創生」というスローガンを掲げています。考え方としては人口減少時代の中で、都市と地方で「人口をシェアリングする」ような発想です。都心にも地方にも暮らす、地方も複数拠点利用できる、そういった暮らし方を提供していきたいなと思っています。

南房総にある「ADDress(アドレス)」の物件(写真提供/アドレス)
南房総にある「ADDress(アドレス)」の物件(写真提供/アドレス)

津田 地方にも住んだら素晴らしいところはたくさんあるのに、旅行ではあまり足が向かない場所も多いですよね。

佐別当 これまでも週末だけ別荘や避暑地で過ごすという考え方はありました。でも、観光客向けの店や施設とのつながりはできても地域に根差している人たちと触れ合う機会は少なかったのではないでしょうか。アドレスでは休暇を過ごすためだけではなく、その拠点でリモートワークしたり、家族で利用したりと、定住とまではいかなくても、気に入った地域と関わり続けたい人にこそ物件を提供したいと考えています。

 会員のニーズはそれぞれですが、仕事の前にサーフィンをするため近場に海がある拠点を選ぶ人や、温泉を楽しむ人、平日は都内から離れられないので週末だけ別荘感覚で利用する人もいます。東京生まれ東京育ちの親御さんがお子さんにふるさとをつくってあげたいというケースも最近よく聞きます。

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