エグゼクティブサーチ会社「ハイドリック&ストラグルズ」日本オフィスで活躍する渡辺紀子氏が、21世紀を勝ち抜く「異能のキャリア」を紹介するシリーズ。第5回に登場するのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券で若くしてエグゼクティブ・ディレクターという要職に上り詰めながら、2019年から保育事業のスマート化を目指すスタートアップのユニファ(東京・千代田)に参画した、同社取締役CFO(最高財務責任者)の星直人氏だ。

星 直人(ほし なおと)氏
ユニファ取締役CFO
2007年外資系投資銀行のモルガン・スタンレー証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に新卒入社。サントリーによるビームの買収など米国関連の大型M&A案件などを主導。19年、ユニファに取締役CFOとして参画。財務戦略や各種の戦略的施策を主導。早稲田大学政治経済学部卒業。同大学院にて修士号を取得
渡辺紀子氏が見た星直人氏

 コロナ禍を迎え、星さんとは「Zoom」でやり取りはさせていただいたけれど、リアルにお会いするのはなんと初めてです。お子様の誕生を機にモルガン・スタンレー証券を飛び出し、次世代向けのサービスを展開するユニファを選んだ。レジュメにストーリーがあり、しかも地頭のよさに加え、見た目もスマート(笑)。もっとも星さんのような思い切ったチェンジのできる人こそ、ヘッドハンターからすれば美しいんです。

渡辺氏(左)と星氏(右)
渡辺氏(左)と星氏(右)

 星さんは確かに、実にシュッとされていますね。渡辺さんの賛辞を否定しません(笑)。スポーツは何かなさっていましたか?

 「サッカーを小学生のときからやってました。高校は遠距離通学だったので、どこの部活にも入らず、地元の社会人チームに参加してました。モルガン・スタンレー(証券)でもフットサルのチームを結成し、週末に練習や試合をするのが唯一の息抜きでしたね」

モルガン・スタンレー証券時代に参加したフットサルチームで(前列中央右が本人)
モルガン・スタンレー証券時代に参加したフットサルチームで(前列中央右が本人)

 ああ、やっぱり。サッカー経験のある人はすぐ分かります(笑)。ご出身はどちらですか?

 「福島県の中通りの石川町という、郡山に近い人口1万人強の田舎です。僕の家は駅からも離れていたので、自転車で駅まで行き、電車に乗り、駅からまた高校まで自転車に乗るという日々で、通学には往復で3時間以上もかかってました(笑)」

 というと高校は……?

 「県立の安積高校です。ご存じですか?」

 もちろん。出身者も何人か知っています。旧本館が国の重要文化財に指定され、今は(安積歴史)博物館になっていますよね?

 「創立135年の古い学校ですからね(笑)。毎朝5時50分発の始発に乗ってました。電車じゃなくてディーゼル車で(笑)」

4年で意思決定できず大学院へ進学

 そして大学進学で東京にいらした。

 「勉強しないダメ学生の極みでしたね。早稲田の政経(政治経済学部)の授業は出欠を取らないんですよ。だから語学以外はほとんど出てない(笑)。でも、『一度きりの人生だし、自分は何を成し遂げたいんだろう』とはずっと考えていましたね。ところが、みんなOB訪問をして、就職先をふわっと決めてしまう。自分も遊びつつ、そこには強い違和感を覚えていました」

 大学は本来、キャリアの礎を築く場所ですけどね。だから大学院にまで進んだ?

 「4年で意思決定ができなかったんです。経済学科にいたので会社経営には興味がありました。となると、戦略コンサルティングか商社か……。でも、それらの解像度がまったく上がっていない状態でした」

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
3
この記事をいいね!する