試験運用を経て、DX(デジタルトランスフォーメーション)の新規事業をなんとか立ち上げた。その先には、広報宣伝、カスタマーサクセスの取り組みも必要となる。連載最終回の本記事は、それら事業全体のコストや数値計画のノウハウを多数の事業開発の経験を持つコンサルタント、岡村直人氏が解説する。
前回は、DXの打ち手として事業開発をする際の手順として、企画からニーズ検証までのフェーズをざっくりと説明しました。今回は日経クロストレンド読者の皆さんと関わりが深いマーケティングを含む、ローンチ後の流れについて説明します。
新規の事業開発におけるマーケティングは、既存事業とは異なり「広告の費用対効果が全く合わない」ことを念頭に置いて進めなければなりません。
新規事業におけるマーケティングの難しさというのは、それこそいくらでもあるのですが、多くの人が見逃しやすいのが「説明コスト」です。
最新型の自動車やエアコンであれば、基本的なベネフィットは明らかですので、新製品の差別化ポイントだけを伝えれば消費者は要否を判断できます。
一方、リリース時点で新規性の高いサービスであればあるほど、基本的なベネフィットの説明に多くのコミュニケーションコストが必要になります。例えば2006年にTwitterが登場したとき、「140文字のつぶやきをネットに投稿して、他のユーザーが閲覧できる」と言われても「それってなんの役に立つの?」と感じた人がいるはずです。10年に始まったInstagramも「これまでのSNSと何が違うの?」と思ったかもしれません。
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