DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための新規事業をいよいよ立ち上げることになった。そのときにどう企画を練り上げ、社内の説得を進めていくのか。多数の事業開発の経験を持つコンサルタント、岡村直人氏は、社内起業家としての心構えから整えていく必要があると話す。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、社内に新規事業を立ち上げる場合のポイントを紹介する(写真/Shutterstock)
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、社内に新規事業を立ち上げる場合のポイントを紹介する(写真/Shutterstock)

 DXを進めていく過程で、新規事業に舵(かじ)を切るケースは少なくありません。本連載の第6回でも、外部環境の変化をチャンスと捉えて事業開発に取り組むこともあれば、新規参入者にシェアを奪われないために防衛策として事業開発に取り組む場合もあるとお伝えしました。

外部環境の変化を「機会(チャンス)」と捉える場合でも、「脅威」と捉える場合でも、DXの一環として事業開発に踏み込むケースがある
外部環境の変化を「機会(チャンス)」と捉える場合でも、「脅威」と捉える場合でも、DXの一環として事業開発に踏み込むケースがある

 以下は、筆者のチームがDX支援に取り組む際のフレームワークの一部です。

企業がDXを推進する際のフレームワーク例。「モチベーションの確認と合意」「スコープ定義」を経て、「顧客体験の変革(事業開発)」と「自社組織の変革」に枝分かれしている
企業がDXを推進する際のフレームワーク例。「モチベーションの確認と合意」「スコープ定義」を経て、「顧客体験の変革(事業開発)」と「自社組織の変革」に枝分かれしている

 共通となる全体設計のフェーズ(スコープ定義)を経て、「顧客体験の変革(事業開発)」と「自社組織の変革」へと枝分かれしていることが分かるかと思います。今回は、上側の「顧客体験の変革(事業開発)」の部分について説明します。

 これまで多くの企業を支援してきた経験から感じるのは、「歴史の長い企業でも事業開発を経験したことのある人材はごく限られている」ということです。

 DXに取り組もうとしている歴史の長い企業の多くは、2000年以前にビジネスの型が固まっており、時代に合わせた「ビジネスの型の再定義」を迫られています。長い歴史の中で特定市場への最適化を続け、結果的に“事業開発人材”の数が少なくなってしまったのです。

 一方で、2000年代以降に立ち上がった企業、特にデジタル系ベンチャーは、事業開発の経験者が豊富です。ここでは、デジタル系企業において筆者が重ねてきた経験に基づく事業開発のテンプレートとでもいうべきものを簡単に紹介したいと思います。

社内起業家の心構え、不十分なら離職も?

 その紹介に入る前に、社内起業家として認識しておきたい心構えをお伝えしようと思います。

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