DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の綿密な計画を立てたとしても、十分な予算を確保できなければ意味がない。従来の年度予算を組むだけではトライ&エラーを繰り返すアジャイルプロジェクトに対応できないと、多数の事業開発の経験を持つコンサルタント、岡村直人氏は指摘する。
今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の投資予算配分と意思決定について説明します。DX推進において、予算配分や投資の分配は重要な検討項目です。成長企業であれば、営業利益の増加分や増資分などをDX活動資金に当てればよいでしょうが、日本全体として低成長が続く中、新たな資金源がない企業が多いかと思います。
日本情報システム・ユーザー協会の調査によると、日本のIT投資は約8割が「現行システムの維持・管理」に充てられ、「新規事業や付加価値創出」にかける割合は2割程度で推移してきました。ただ、最新の2020年度調査では「IT投資で解決したい中長期的な経営課題」という項目で「迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)」や「ビジネスモデルの変革」を挙げる企業が多くなっています。
第6回の記事では、「攻めのDX(機会と捉える)」の場合、基本的には「事業開発」、「守りのDX(脅威と捉える)」の場合、その対応は「防衛的事業開発」と「内部革新」に分かれるとお話しました。
DXの中身次第ではありますが、こうした事業開発や防衛的事業開発の場合は研究開発(R&D)の予算で行うケースが多いと思います。
経験上、R&D予算は、営業利益や売り上げからの比率で毎年一定の予算枠を確保している企業が多いように見受けられます。とはいえ、売り上げ100億円以上の企業でも、完全な新規事業となると1億円未満の予算で始めることが多いと思います。
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