DX(デジタルトランスフォーメーション)の失敗として、ITツールを導入するのが目的となってしまい、本来の目的である成果が見えてこないという話を聞くことがある。ITツールが必要となるケースは何か、どう活用すればいいのか。多数の事業開発の経験を持つコンサルタント、岡村直人氏が指南する。
第15回の記事では、顧客が自社の製品やサービスについて初めて知ったタイミングから、成約に至るまでの過程を定量的かつできるだけ網羅的にマネジメントする必要性について例を挙げながら説明しました。
多くの企業において、部分的な数値管理はできているものの「部門の壁」や「ネットとリアルの壁」によって組織が分断され、統合的な数値管理や施策設計ができていないということを指摘しました。こうした部門間の壁をなくし、効率的な管理のために検討されるツールがSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)です。
営業やマーケティング部門、カスタマーサポート部門など、会社の都合でどんな組織がつくられているのかは、顧客にとって何の意味もありません。「顧客である私にとって、あなたの所属部署がどこであろうと、私のことを知らない理由にはならない」と言われて反論できるカスタマーサポートはいないでしょう。
そこで、このような部門や顧客購買フェーズを横断したマネジメントシステムの必要性が論じられ始めます。
多くの会社では「SFAやCRM導入の是非」という議題で話し合われます。ここで見落とされがちなのが、「運用する現場の見えないコスト」や「データがあっても活用できないマネジメント層のリテラシー」などですが、それは一旦置いておき、改めてSFAやCRMについて基礎的なところを説明しておきましょう。
役割は似ているSFAとCRM、何が違う
SFAはセールス・フォース・オートメーションの略です。「オートメーション」とついているので、何かを自動化してくれそうなイメージがありますが、基本的には営業の担当者やWebサービスからの入力データを基に、商談フェーズを管理するシステムで自動化や無人化に重きは置かれていません。データ量が多いとAI(人工知能)による判断もできますし、フォロー対応の自動化もできますがそこがオプション的な位置付けです。
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