DX(デジタルトランスフォーメーション)で成果を出すには、自社の取り組みの中で弱点がどこかを把握し、克服することが大切だ。どこに弱点があるかと聞かれると、即答できないという人もいるだろう。多数の事業開発の経験を持つコンサルタント、岡村直人氏が弱点の見極め方を指南する。

マーケティングファネルの図を活用することで、デジタル施策の弱点を見極めやすくなる(写真提供/Shutterstock)
マーケティングファネルの図を活用することで、デジタル施策の弱点を見極めやすくなる(写真提供/Shutterstock)

 DXに取り組む企業の特徴として、リアル(フィジカル)な世界のビジネスでは多くの経験と実績を持っている一方で、ネットの世界では実績も経験も少ないということが挙げられます。DXを達成し、急速なデジタル化社会に適応しながら顧客に価値を届け続けるため、まずは自社組織の中でデジタルに弱い部分を早急に克服する必要があります。

 「我が社はデジタルに弱くて……」とおっしゃる経営者に「会社機能のどこがデジタルに弱いのですか?」と聞くと「それは現場(責任者)に聞いてみないと分からない」「特に◯◯だと思うが、他は分からない」というように、組織機能のどこにどのようなデジタル化の課題があるのか、しっかりと把握していないことが多いのです。

 まずは自社機能を網羅的に点検し、どこがどのようにデジタルに弱いのかのポイントを把握する必要があります。私の場合は、マーケティングファネルとバリューチェーンを使ってチェックすることが多いです。今回から数回にわたり、マーケティングファネルを使って自社機能のどこがデジタルに強く、どこが弱いかを見ていきましょう。

 まず、イメージをつかんでいただくために全体像をお見せします。

デジタルのどの部分が弱いのかを分析するには、マーケティングファネルを使う(資料提供:シェアボス、以下同)
デジタルのどの部分が弱いのかを分析するには、マーケティングファネルを使う(資料提供:シェアボス、以下同)

 マーケティングやセールスに携わっている方にはおなじみのマーケティングファネルです。今回のものは、左から右に向かってファネルが進んでいく、横向きの図になっています。DXの課題分析に用いるため、縦に「ネット」と「リアル」で分かれています。右に行くほど数が少なくなっているのが、「ファネル(じょうご)」と呼ばれるゆえんです。

 図に記載がある通り、顧客との関わり方においてDXに取り組むトラディショナルな企業は「リアル」領域は十分に強いものの、「ネット」領域には弱いのでここを詳しく分析してなんとかしましょう、というのが趣旨になります。

 左から右に流れる、ファネルの各フェーズを簡単に説明しておきます。

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