withコロナ時代の今、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進は待ったなし。ミーティングの時間を重ねるばかりで遅々として進まないプロジェクトを許容する余裕はない。具体的に実務レベルでDX推進をしていく際に何をすればいいのか。多数の事業開発の経験を持つコンサルタント、岡村直人氏がDXビジネス立ち上げの勘所を解説する。

DXを実現させるために、ときにはデジタル部署と非デジタル部署の対立を避けるといった配慮も必要になる(写真提供/shutterstock)
DXを実現させるために、ときにはデジタル部署と非デジタル部署の対立を避けるといった配慮も必要になる(写真提供/shutterstock)

 ここまでは経営や役員など企業の意思決定レイヤーの目線からDX推進やそのチェックポイントについて説明してきました。今回はDX推進における現場レベルの実務について筆者の経験に基づいて説明しましょう。

 これまでの連載でも、DXにはその目的やターゲットとする産業構造などによって実態は様々であると述べましたが、今回は主にDXの一環として事業開発を行う場合を念頭に置き説明していきます。以下は第6回でも紹介したDXの内容やアクションの分類です。今回は赤線で囲った部分についての説明です。

今回は赤線で囲った事業開発の部分について説明していく
今回は赤線で囲った事業開発の部分について説明していく

 筆者はこれまで、ガリバーインターナショナル (現在はIDOM) のほか、NTTドコモや朝日新聞社といった企業でデジタルビジネスの立ち上げに携わってきました。今回はそれらの経験を総括して解説します。ある特定の企業について述べているわけではない点は、あらかじめご承知おきください。

 経験上、歴史ある非デジタル企業がデジタルビジネスを立ち上げるためにはざっとこのようなアクションが必要になります。

歴史ある非デジタル企業がデジタルビジネスを立ち上げるためには、上記のようなアクションが必要になる
歴史ある非デジタル企業がデジタルビジネスを立ち上げるためには、上記のようなアクションが必要になる

 経済産業省やシンクタンクなどは、DX推進のためにまずはビジョン・ミッションの策定を推奨していることが多いと思いますが、それらはあくまでも取り組みに正当性や一貫性を持たせるためのHOWの部分だと考えます。

 ミッションやビジョンを作った後、実務レベルでどうしたらよいか悩んでしまい、なかなかプロジェクトが進まないという話もよく聞きました。withコロナ時代となった今、そんな猶予は残されていません。何よりDXは “結果が重要” です。企業や目的によっては派手なゴールをぶち上げるよりも、特命チームを作って現場で粛々と実務を進める方がハレーション(周囲に悪影響を与えてしまうこと)を回避できてよい場合もあるものです。

結果を出すには予算取りが何より大事

 では「結果」につながるマイルストーンをどう積み上げればよいのか。筆者が何よりも大事だと考えているのが「予算取り」です。予算は企業としての歴史とこれからの方針を反映し、経営の意志と資源が集約されています。

 DX推進の現場としては予算取り・予算化を目指して動くことにより、組織の実態に合ったアクションが可能になります。例えば、採用を行うのであればそれは「人件費」という長期にわたる組織の固定費に影響を与えることになるので、3年後、5年後に照らして会社事業のあり方を議論する必要が出てきます。3年後の人件費におけるエンジニアの比率が「10%」の場合と「40%」の場合では、事業構造が変わってくるのは容易に想像がつくでしょう。

 そのような議論の中ではじめて「3年後、5年後に我が社はどのような事業を行っているだろうか」「どんな組織になっているだろうか」という議論にもリアリティーが出てくるものです。

 図表では「事業計画」となっていますが、より上位の検討事項として中期経営計画があり、その接続が重要であることを忘れてはいけません。また、活動の短期的KPI(重要業績評価指標)がコスト削減の場合は事業計画ではなくプロジェクトとして実行されます。

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