デジタル庁創設をはじめ政府もデジタル化を推進する中、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるビジネス変革を目指す企業が増えている。そのきっかけとなったのは経済産業省が公開した「DXレポート」だ。多数の事業開発の経験を持つコンサルタント、岡村直人氏がその読み説き方を解説する。

経済産業省のリポートは、DX化が進まなければ年間12兆円の経済損失が生じる「2025年の崖」が待っていると記している(写真提供/Shutterstock)
経済産業省のリポートは、DX化が進まなければ年間12兆円の経済損失が生じる「2025年の崖」が待っていると記している(写真提供/Shutterstock)

 前回の記事では、DXには文脈によって3段階の捉え方があり、その中でも“広義のDX”は自動車メーカーや家電メーカーといった広く一般生活者向けの商品を手掛ける企業やそのビジネス文脈で使われていると説明しました。重要な概念なのでいま一度、図を紹介します。

DXには文脈によって3段階の捉え方がある。今回は2階層目に当たる「狭義のDX」について説明する
DXには文脈によって3段階の捉え方がある。今回は2階層目に当たる「狭義のDX」について説明する

 今回は、2階層目となる“狭義のDX”について国内企業のビジネス文脈での使われ方や影響について解説していきます。

さらに2つに分類できる狭義のDX

 “狭義のDX”とは簡単に言えば、典型的な日本の大企業にとって必要なデジタル化による業務の効率化あるいはビジネスを活性化するための施策のことです。要約すると以下のような定義だと思っていただければよいと思います。

①1990年代~2000年代に構築した基幹システムの老朽化や、複雑化といった技術負債にどう対処するかといった情報システムの刷新

②米アマゾン・ドット・コムや米グーグルのようなIT系企業が小売りや自動車産業などの伝統的産業にまで参入し、競争環境を激変させるデジタルディスラプションへどう対応するかというデジタル経営戦略

 海外におけるDXの議論は、生活者のライフスタイルやデジタル技術のコモディティー化によるビジネス構造の変化にどう対応するかという面も多いように感じるのですが、国内の議論ではどちらかというとデジタル化という潮流や変化を経営上の脅威と捉え、いかに対応し生き残るかという面が注目されています。

 その一因として、日本の場合“年齢別人口構成図”に比例して高齢化する組織がデジタルに弱く、意思決定や変化の足かせになっているという構造的な問題が根底にあるようです。市場原理による変化の推進力が弱いため、国レベルで改革を後押しせざるを得ないとも言えるでしょう。

 これに対し3階層目の「自社の取り組みとしてのDX」は個別の業界、企業の規模などに取り組む内容が変わってきます。こちらについては以降の回で紹介していきます。

注目されるきっかけとなった経産省「DXレポート」

 国内でDXの認知度が上がり始めたのは17年~18年ごろからです。そのきっかけの一つとなったのは経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」が18年に発表している「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」です。

関連リンク(クリックで別ページへ):
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
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