天井などから特定の波長の紫外線を照射すると、空間や床、壁、机などを数分間で除菌できる“魔法のライト”がコロナ対策のニューノーマルとなりそうだ。人体への安全性も兼ね備え、注目を集めている。日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2021年ヒット予測ランキング」では、「空間丸ごと紫外線除菌ライト」を6位に選出した。

※日経トレンディ2020年12月号の記事を再構成

施設の天井などに「Care222」によるランプを取り付けると、空気だけでなく、床や壁も除菌できる
施設の天井などに「Care222」によるランプを取り付けると、空気だけでなく、床や壁も除菌できる

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【6位】「空間丸ごと紫外線除菌ライト」

コロナ対策のニューノーマル
殺菌性と安全を兼ね備えた照明で消毒の手間を軽減

 病院の待合室に行って「Care222」のロゴを見つけたらひと安心──。2021年には、施設内の安全性を示す“基準”が「SECOM」や「ALSOK」から変わるかもしれない。といっても防犯ではなく、感染症対策の話だ。

 新型コロナによって、外出中には検温と消毒を何度も行う「ニューノーマル」な生活様式が定着しつつある。しかしそれでは、施設内の空気中や床は除菌できない。そのため、ドアノブや会議室のテーブルなどを定期的に消毒する会社も珍しくない。この手間を大幅に減らせそうなのが、ウシオ電機が開発した、紫外線殺菌技術のCare222を使ったライト。天井などから特定の波長の紫外線を照射すると、空間や床、壁、机などを数分間で除菌できるという“魔法のライト”だ。

東芝ライテックによる、Care222を使用したランプの利用イメージ。まずは病院や企業のロビー、会議室などから導入し、その後車載用や一般家庭向けの販売を検討しているという
東芝ライテックによる、Care222を使用したランプの利用イメージ。まずは病院や企業のロビー、会議室などから導入し、その後車載用や一般家庭向けの販売を検討しているという

 紫外線に殺菌作用があることは100年以上前から知られている。特に殺菌力が強いのが、波長が200~280nmの「UV-C」と呼ばれる紫外線だ。これを照射すると、細菌やウイルス内の核酸(DNAやRNA)を破壊(変性)して、殺菌や不活化をする。しかし、これは裏返せば人体にも悪影響があるということ。このため、現在業務用で使われている紫外線殺菌灯は、厨房や病院などで夜間など人がいないときに照射して、雑菌やカビの発生を防ぐ用途でしか使われてこなかった。

 しかし12年に、新事実が分かった。米国コロンビア大学放射線研究所のデービッド・ブレナー所長のグループが、波長200~230nmの紫外線は人体にほとんど害が無いことを発見。同グループは、中心波長222nmの紫外線を出せる、人体に安全な殺菌ライトを開発した。この技術がCare222で、同グループとの提携により、ウシオ電機が特許の独占実施権を持つ。

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