日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2020年ヒット商品ベスト30」の4位に「Zoom」が選ばれた。ビデオ会議システムとしてはほぼ無名だったが、コロナ禍で在宅勤務が広まるにつれて「大人数でつないでも途切れにくい」ことを武器に利用者が拡大。ビジネス用途だけでなく、プライベートでも活用する人が増えた。

※日経トレンディ2020年12月号の記事を再構成

Zoomの有料アカウント数は約30万。1年前の14.3倍に
Zoomの有料アカウント数は約30万。1年前の14.3倍に

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【4位】「Zoom」

テレワークの象徴が売り上げ100億円へ
会議用ツールが習い事や飲み会に波及

 1年前までほぼ無名だったビデオ会議システム「Zoom」が、コロナ禍で躍進。瞬く間に、メールやLINEなどに次ぐ、コミュニケーション手段の選択肢の一つになった。

 20年2月ごろから新型コロナの感染拡大が始まると、4月には多くの会社員が在宅勤務を始め、相手の顔や資料を見ながら話せるビデオ会議のニーズが一気に高まった。

「ビデオ会議システム」の利用シェア
「ビデオ会議システム」の利用シェア
注)MM総研「SaaS・コラボレーションツール利用動向調査」から。調査期間は20年4月28日〜5月1日で回答件数は2119

 当初、先行していたSkypeなどに比べてZoomの知名度は低かった。しかしZoomには、他社のビデオ会議システムと比べて、大人数でつないでも途切れにくいという特徴があった。日本法人のZVCジャパンでカントリーゼネラルマネージャーを務める佐賀文宣氏は、「世界に先駆けて日本で急激にテレワークが進んだとき、米国本社が日本のためにタスクチームを作り、通信量急増などに対応してくれた」と振り返る。こうした努力もあり、「Zoomは途切れにくい」というイメージを維持できた。

 また20年2月27日に安倍晋三首相(当時)が小中学校の一斉休校を要請すると、その夜には日本の教育関係者向けに無償提供すると決定。全国の小中高校の約1割に当たる3500校の生徒がZoomで勉強を続けた。多くの生徒が使ったことで、Zoomの知名度は一躍全国区になった。

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