
日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2020年ヒット商品ベスト30」の2位に「マスク消費」が選ばれた。新型コロナウイルスの影響で、一時は品薄になり、ドラッグストアなどに行列ができたのは記憶に新しいところ。アパレルなど異業種からの参入も相次ぎ、関連商品も売れた。
※日経トレンディ2020年12月号の記事を再構成

【2位】「マスク消費」
国民総マスクで5000億円市場に急成長
異業種が続々参入し、関連商品もヒット
2020年に最も変わった日常の風景。それは間違いなく、街行く人のほとんどがマスク姿ということだ。新型コロナウイルスの感染拡大により、マスクの需要は爆発的に膨らんだ。
市場調査会社の富士経済によると、20年の家庭用マスクの市場規模(販売金額)は5020億円になる見込み。19年が415億円なので、実に12倍の伸びとなる。販売数量は197億枚で前年比3.5倍の見込み。不織布マスクの品薄による値上がりや、単価が高めの布製・ウレタン製マスクの普及が市場規模を一段と押し上げた。
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需要の急増を受け、マスクメーカーは増産体制の構築を急いだ。最大手のユニ・チャームは、工場を24時間体制に切り替えて以前の3倍の量を生産。アイリスオーヤマは中国の自社工場に加えて国内生産も開始し、月2億枚以上を供給できる体制とした。同社の国産の新商品「ナノエアーマスク」は、通気性の良さが好評で販売を伸ばした。
繰り返し使える布マスクやウレタンマスクを使う人が増えたのも、20年の大きな変化。不織布マスクの入手が困難だった時期にはその代替となり、政府が全世帯に布マスクを配るほどだった。需給が落ち着いた後は、ファッション性や機能性を考慮して布製やウレタン製を選ぶ人も多かった。店頭には、カラーやデザインに凝った様々なタイプのマスクが並ぶようになった。
そして話題を呼んだのが、異業種の相次ぐ参入。シャープは3月から、液晶ディスプレー工場を活用して不織布マスクの生産を開始。1日60万枚を作り、自社サイトで抽選販売する。4月の初回抽選の倍率は118倍に達した。
アパレル大手のユニクロも動いた。消費者からの強い要望の声を受け、機能性肌着「エアリズム」の素材で作った「エアリズムマスク」を6月に発売。1パック3枚組で週50万パックを販売した。店舗にはマスクを買い求める人が押しかけ、しばらくは1人当たりの購入制限を設けるほどだった。
他にも、アパレルのAOKIや青山商事、スポーツ用品のアンダーアーマーやミズノ、無印良品を展開する良品計画などが、涼しく感じる素材や運動時に息がしやすい構造などを取り入れた機能性マスクの製造・販売に乗り出し、いずれも売り上げを伸ばした。
“異業種マスク”も話題に
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