動物のナマケモノは「怠け者」ではなく、実は「省エネ」で「効率」がよく「エネルギー消費に無駄がない」生き物。コロナ禍で消費者の動きも、「ナマケモノ化」している。世代・トレンド評論家である牛窪恵氏と共に、3回にわたってこの「ナマケモノ消費」について考えていく本連載。第2回はライフスタイルについて。
【第2回】 緩くつながり、楽しむおうち時間 外出自粛が促したナマケモノ化 ←今回はココ
【第3回】 ~Coming Soon~
お金もエネルギーも抑え、家族でプチレジャー
コロナ禍で日常の仕事はテレワークへ移行という大きな転換がありました。プライベートやライフスタイルの面で起きている、効率重視の「ナマケモノ」な消費動向にはどんなものがありますか。
お金もエネルギーも抑えて「プチレジャー」を楽しんでいる。
牛窪恵氏(以下、牛窪氏) 2020年5月ごろ、スーパーなどで小麦粉やホットケーキミックス、お好み焼き粉が売り切れて話題になった。家族みんなで集まって、ジュージュー焼いて取り分けて、食事をプチレジャーとして楽しむ人が増えた。実はコロナ禍では、アナログな「人生ゲーム」(タカラトミー)も売れていて、家族一緒に、家で楽しめるレジャー関連商品の売り上げが伸びている。
自宅でキャンプグッズを使ったりテントを張ったりする「家キャン」を楽しむ人や、ベランダでグランピングをする「ベランピング」にハマる人も増加。ベランダに人工芝を敷く人も増え、愛知県で人工芝を販売する会社は、コロナ禍で契約が「前年比2倍以上」と話していた。
つまり、お金もエネルギーも抑えて、ナマケモノ的に省エネでおうち時間を楽しむ人たちが多かったわけだ。ステイホーム期間が終わっても、テレワークを継続する企業が少なくないため、この傾向はしばらく続くだろう。
キャンプ用品は、ファッションのようにブランドに関係なく売れているのですか?
若者の「ナマケモノ消費」が全世代に波及。
牛窪氏 現在50代のバブル世代以上の多くはブランド志向が強いので、これまでは「アウトドアやキャンプといえばモンベル、コールマン」など、レジャーもブランドで選ぶ傾向が強かった。
対する若い人たちは、もともとブランドよりコスパや口コミ重視。「失敗したくない」や「買うなら長く使いたい」と考え、購入時点より「買った後の使い勝手がどうか」を気にして、SNSなどで口コミ情報を得る。お金やショッピング時のエネルギー消費は「ナマケモノ」でも、その前の情報収集の段階は、かなりアクティブだ。
さらにコロナ禍では50代以上のネットショッピングも急増し、購入前(情報収集)はアクティブ、でも購入時(買い物)や購入後(使う段階)は、ナマケモノといった傾向が、全世代に広がったように思う。
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