
デザインコンサルティングを手掛けるトリニティ(東京・千代田)は毎年、「クロスオーバートレンドフォーキャスト」と呼ぶリポートを作成して、デザインやCMF(Color:色、Material:素材、Finish:加工)のトレンドと生活者の価値観の関係性を分析している。今回は後編で、テクノロジーとの結びつきが強くなる半面、ぬくもりや感情に訴える表現が増加していることが分かってきた。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、人と人、人と社会のつながり方において、テクノロジー活用を大きく前進させた。もともとネットを介して個人に仕事を発注するスタイルや、テレワークなどによる働き方改革など、つながり方の意識変化の流れは存在していたが、新型コロナによって“接触”することにリスクを感じるようになったことで、誰もが不自由さを感じない快適なつながり方の必要性が一気に現実味を帯びてきた。
「ステイホーム」といった自粛生活の反動か、生活者の心や体を助けるネット関連のプロダクトやサービスも増えている。今後、デジタル生活が日常化するのに伴い、生活者の周辺にはシンプルな形状に繊細な色や質感をまとったデザインなど、合理性や効率性と同時にぬくもりや情感にも訴える表現が増えていくだろう。
例えば、2020年3月の「ジュネーブ・モーターショー2020」で発表される予定だったスイスのマイクロ(Micro)による小型電気自動車「マイクロリーノ(Microlino)」のアップデートバージョンなどは、アルミとスチール素材など硬質な印象を与える素材を使用しながらも、エッジが立たない曲線や不規則な膨らみによる抜け感で柔らかい印象を与えている。
スウェーデンのエレクトロラックスの空気清浄機「Pure A9」のように、レザーやファブリックと、メタリックなど硬質な素材をミックスすることで、ハイテク製品らしいスマートな印象を残しつつも、温かみを感じるデザインもある。
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