
デザインコンサルティングを手掛けるトリニティ(東京・千代田)は毎年、「クロスオーバートレンドフォーキャスト」と呼ぶリポートを作成して、デザインやCMF(Color:色、Material:素材、Finish:加工)のトレンドと生活者の価値観の関係性を分析している。今回は前編として、新型コロナウイルス感染症拡大を視野に入れ、価値観の変化によって今後のデザインやCMFがどうなるかを解説した。
クロスオーバートレンドフォーキャストとは、生活者を取り巻く3つのカテゴリーとして、ファッションやインテリア、プロダクトの各分野を選択。それぞれで顕著になったデザインのトレンドが各分野をまたぐ“クロスオーバー現象”に着目し、生活者の意識や価値観の変化を分析している。
10年単位の時間軸で眺めると、インパクトの大きな社会事象とともに、社会意識や産業構造も、大きな変化=うねりとして変化し続けていることが分かる。当然、その大きな変化=うねりは生活者の意識や価値観にも及び、従来の当たり前が当たり前ではなくなり、今まで排除されていた物事に新たな価値が見いだされるといった変化が起きている。
特に2020年は新型コロナウイルスにより、生活が大きく変化した。新型コロナによる社会構造や価値観の変化が社会心理の底部に配置され、今後のクロスオーバートレンドにも影響を及ぼすと考えられる。
ただし、これはゼロから生まれた全く新しい価値観というより、既に兆しとして数年前から見え始めていたリスク対応や危機管理といった能力に対する高い関心や利他主義などいくつかの価値観が、これまでの価値観に代わっていく流れが急速に進んだだけ、ともいえる。
こういった価値観の変化は、デザインのトレンドにもさまざまな影響を及ぼし始めている。今回は「エコ・エシカル」「テクノロジー」「クラフト×マス」の3つのキーワードをピックアップし、それぞれがどのような背景から生まれ、デザインとして表現されているかを、読み解いてみたい。
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