19年12月には、専門医らによって「聴診データ研究会」が設立。聴診音データの集積、解析を行う医療従事者間の知識交換を促進し、聴診データの活用拡大を目指しています。また分科会として、患者と医療従事者が時間と地域を問わず医療リソースにアクセスできる環境構築を目指す「ユビキタスヘルスケア部会」も20年2月に設立され、医療のDX促進が期待されています。

 ネクステートのビジネスは、単にハードのモノ売りにとどまらず、その性格上、データ活用ビジネスに発展していくことは確実です。5Gによる鮮明な問診と組み合わせることで、よりきめ細かい診察がオンラインでも実現しそうです。

4Pを踏まえた戦略の整理

 シェアメディカルの取り組みをDX2.0(マーケティング視点のDX)の4Pで整理します。

Problem(課題)
 医療従事者と情報交換する過程で、診察が長時間に及ぶと聴診器で耳が痛くなるとの情報を得ました。

Prediction(未来予測)
 音楽を聴くワイヤレスヘッドホン/イヤホンのような形なら長時間の聴診も苦にならないのではないか。そのためには心音や呼吸音をデジタル化して、通信できるようにする必要がある。それが可能になれば、オンライン診療で問診のみならず聴診も可能になるだろうと、診察の未来図を予測しました。

Process(改善プロセス)
 聴診音のデジタル電送は一筋縄ではいかず苦労しますが、台湾の音響機器メーカーの協力を得て、開発に成功します。不要なノイズをカットし、必要な音をノイズ扱いしないよう、細かいチューニングを重ねて完成にこぎ着けました。

People(人の関与)
 開発に際して多くの医療従事者からフィードバックをもらい、改良を重ねて完成度を高めました。聴診音をデジタル化して共有が可能になったことで、若手医師がベテラン医師から異常音の聴き取りを学び、継承する機会ができました。オンライン診療の発展で、医師不足の地方や過疎地に住む患者にとって医療体制の充実が期待できます。