「ものが売れない時代」「トレンドのない時代」といわれ、消費マーケットの長期低迷を嘆く企業が多い一方、次々に出版されるお取り寄せ本が人気となるなど、何を買ったらいいか分からない人も多くいます。人々が欲しがるものは変化し、「語れるもの」「サステナブル」が2大ポイント。語れるギフトは地域とつながれるギフトにもなり、見知らぬ土地に親近感が生まれます。

情報過多の手土産選びに消耗している人が多い

 こんまり(近藤麻理恵)さんの著書『人生がときめく片づけの魔法』があれだけヒットし、断捨離も当たり前になっていることからも分かるように、私たちはものを持ちすぎていて、新しいものはそれほど必要としていません。企業はこなれた価格、新しい機能や効能、そしてすてきなパッケージデザインなどで新商品を展開しますが、消費者には「いったん立ち止まって必要かを考える癖」がついてしまいました。そんな中で今、どういうものが必要とされているかを考えると、1つは「自分のポリシーを語れるもの」ではないでしょうか。

 人とつながりたい気持ちが、このコロナ禍でより強くなっています。そこで需要が高まっているのが、言葉の代わりにものを贈って伝えたいギフト商品。作り手にとってもギフトは単価を高く設定でき、自分たちの個性やこだわりも出しやすいという大きなメリットがあります。とはいえ、ギフト商品は星の数ほどありますので、その中で選ばれるのは至難の業。選ぶ側も大変なので、そのためのガイドとしてお取り寄せ本やネットのレコメンドがこれだけたくさん存在するのでしょう。

 先日、友人と贈答品選びについて雑談をしていた際、「毎年、手土産やお取り寄せのガイド本を買うけれど、種類も掲載商品もあまりに多く、手土産選びで消耗していると感じる」と語っていました。また、「他の人とかぶらないようにレアな手土産を持って行ったら、そのブランドを誰も知らず、価値が伝わらなかった」という情報過多故の失敗談もよく耳にします。新しいもの、珍しいもの視点で選ぶと翌年にまた迷うことになり、中にはなくなっているお店も。こうした状況に疲れる人が増え、ギフトのニーズも少しずつ変化しているのを感じています。

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