2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)ですが、20年に一気に進んだように感じます。大企業のオジサマたちが襟につけるバッチのイメージから女性ファッション誌の表紙を頻繁に飾るバズワードとなり、消費自体がサステナブル(持続可能性)抜きに語れない時代になりました。サーキュラーエコノミー(循環経済)が必要不可欠な要素になるのです。

廃棄素材×テクノロジー×デザイン=新しい価値

 サーキュラーエコノミーの大きな波を実感したのは、19年から20年にかけて英ロンドンのRCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)に短期留学していたとき。LCCの格安チケットを使って弾丸でパリやドイツを往復し、ドイツのハイムテキスタルやフランスのプルミエール・ヴィジョン・パリなどの世界的な見本市を見に行ったときでした。

 大学を卒業してJR東日本に入社した後、「小売りを現場で学びたい」と上司に掛け合い、2年ほど大手百貨店に出向させてもらいました。出向先の百貨店で婦人服売り場の販売をしていたころから、その見本市は一度行ってみたい憧れの場所だったのです。しかしサラリーマン生活では中途半端な時期に長期休暇を取ることは難しく、1泊2日で行けるこの機会にと足を運びました。

 ファッションブランドに以前の勢いはないにせよ、世界60~70か国、約2000~3000社のマテリアルメーカーが集まる見本市は業種を超えた多くの来場者でにぎわっていました。バイヤーは従来のアパレルブランドから変わって、家具やカーデザイン含めた生活全般に広がっていたのは印象的でした。さらに見本市自体がサステナブルをテーマの一つに置いていただけでなく、そこから踏み込んで「サーキュラーエコノミー」を明確に打ち出したブースに人が集まっている傾向が顕著でした。

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