コロナ禍で世界が一気に変化した2020年、多くの人は「会社(仕事)中心」という従来の価値基準と正面から向き合うことを余儀なくされました。その結果、より柔軟な働き方・生き方を求める人は確実に増加し、その動きを察知した企業は制度だけでなく会社の在り方も変えてきています。
ニューノーマルの世界では多くの人がこれまでの仕事の枠組みから解放されます。それによって多くの選択肢が見えるようになる人と、選択肢がより一層狭められてしまったと感じる人の二極化が進むように思います。その違いを生み出すものは何でしょう。また、金銭的な処遇や肩書以上の企業の価値観が見える化されるとき、企業に求められることは何でしょうか。
常にバランスを考えながら仕事はできない
長い間、私生活を犠牲にして会社に尽くすことが求められていた日本でも、会社中心人生からの転換が提唱されるようになりました。2007年には内閣府が「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」を発表。ワーク(仕事)とライフ(私生活)のバランスを取る考え方が示され、一般に広まっていったのです。この憲章の背景には、女性の社会進出や少子高齢化が進み、社会構造が大きく変化しているにもかかわらず、働き方や男女格差などが変わらないという現実がありました。
そんな中、私は「仕事と私生活は必ずしも対立軸ではないのでは」と思い続けてきました。人生トータルでのワークライフバランスはあっても、常にバランスを考えながら仕事はできないと感じていたからです。仕事もライフイベントも計画通りにはいきません。子供を産んだ直後は子育て中心の生活にならざるを得ませんし、家庭に何かが起こればそちらに比重は傾きます。仕事も相手やタイミングというものが必ずあります。常にバランスを取ろうとして仕事を調整すれば、チャンスを見逃すことにもつながります。ですから、バランスにとらわれることなく、その時々で常に全力で目の前のことに取り組むべきだと感じていました。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー