「小さくても強い農業」の先駆者である久松農園(茨城県土浦市)代表の久松達央氏。良いコミュニティーに属し、物事を相対的に見る視点を持ったり、地域横断的な交流を深めたりできるかどうかも成否を分ける条件の1つだという。そのうえで、「農業は複雑で課題が見えにくいからこそ面白い。答えのない問いに挑むことが本当の知性」と語る。
<前編はこちら>
良いコミュニティーに所属し、深く根を張る
鎌田由美子氏(以下、鎌田) 「近郊エリアに消費地があること」「多品目をつくること」の他に、成功しやすい条件は?
久松達央氏(以下、久松) 「コミュニティー」です。これだけの情報化社会であっても、良いコミュニティーに所属しているかどうかが明確に大きく成否を分けていると思います。どういうコミュニティーやネットワークとつながっているかによって、情報だけでなくいろんなノウハウの蓄積に差が出てくるんです。
コミュニティーキャピタルという言葉が最近あります。個人が持つヒューマンキャピタル(人的資本)ではなく、社会全体が享受できるソーシャルキャピタル(社会資本)でもない、特定のコミュニティーに蓄積されている資本がコミュニティーキャピタル。農業の例でいうと、JAの生産者部会は地域の重要なコミュニティーです。
一方、有機農業者は地域を超えて独自のネットワークを形成していて、ノウハウの蓄積があります。有機農業の一番の価値は栽培方法ではなく、そのネットワークにあるんだと、僕はもう最近強く信じるようになってきている。有機農業そのものが優れているのではなく、面白い農業をやっている人たちのコミュニティーに属することに大きな意味がある。物事を相対的に見るような視点があったり、地域横断的な交流が深まりやすかったりという。
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