農林水産省は「6次産業化」に力を入れていますが、1次産業の大半を占める家族経営の規模で全て自前でやるのは難しい。「餅は餅屋」でアライアンスを組んだほうが不得手な仕事に時間をとられることもなく、それぞれが収益化できるのです。

(写真/Shutterstock)
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 農林水産省は「6次産業化」に力を入れています。6次産業化とは、1次産業としての農林漁業と2次産業としての製造業、3次産業としての小売業などの事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源に新たな付加価値を生み出す取り組みで、農山漁村の所得の向上や雇用の確保が狙いです。

 「漁をしている人や農家さんは自分で一気通貫したほうが稼げる」という考え方自体は間違ってはいませんが、成功しているところはある程度規模があり、1次と2次、3次の業務内容が明確化され、メンバーの役割もはっきりしています。一方、1次産業の大半を占める家族経営の規模で全て自前でやるのは難しい。「餅は餅屋」でアライアンスを組んだほうが不得手な仕事に時間をとられることもなく、それぞれが収益化できるのです。

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この連載が本になりました!
『「よそもの」が日本を変える』
(鎌田由美子著、日経BP刊)

 ニューノーマルは見たことのない世界ではなく、「デジタル化」「多様性」「環境意識」といった後回しにしてきた問題が目の前に突き付けられただけ――。JR東日本でエキナカや地域活性化を成功させてきた著者が、「『What if』?という自問自答が必要」「仕事と生き方は融合」「サステナブルが日常に」など、個人や企業の「これからの生き方」を提示する。

 アフターコロナの世界では古くからあるものづくりや文化に恵まれた「地域」に大きな可能性があり、そのカギとなるのが「よそもの」だという。テレワークの普及や副業解禁で都心のビジネスパーソンが「よそもの」として地域のものづくりやビジネスに参画し、マーケティングやマネジメントの知見を持ち込むことでシン・チホウ(新・地方)が生まれるというのだ。本書では著者が地域の1次産業の可能性に目覚めたきっかけとなった青森のシードル工房「A-FACTORY」をはじめ、鹿児島の超高級リゾート「天空の森」、「小さくて強い農業」を提唱する茨城の「久松農園」、英国南西部ウエールズにある古書を観光資源にした町「ヘイ・オン・ワイ」などの事例を紹介している。

 「私自身も『よそもの』として生きてきた」という著者の体験談も読み応え十分。民営化直後の文系女性1期生としてJR東日本に入社し、鉄道事業を経験せずにエキナカや地域活性化プロジェクトを立ち上げるなど、新規事業のオンパレード。49歳で上級執行役員としてカルビーにヘッドハンティングされるも、「好き」という気持ちが先に立って失敗した経験も。極めつけは50代半ばでの起業と、英国美術系大学院への留学。デジタルネイティブ世代に交じり、あらゆることがオンライン化された手続きや「生き物の動きをロボットで表現する」授業などに四苦八苦した。これらの経験を通じ、現代は二者択一の「ONLY、OR」ではなく、やりたいことをいくつも選べる「AND、WITH」の時代だから、勇気を持って一歩踏み出すことを提案する。
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