かざすだけで支払いが完了する決済手段といえば、SuicaやPASMOなどの交通系ICが強い。その使い勝手の良さをクレカでも味わえる「Visaのタッチ決済」が伸びている。店員とのカードの受け渡しやPIN入力が必要ないコンタクトレスのクレカは、決済手段の競争をどう変えるか。

※日経トレンディ2020年10月号の記事を再構成

 読み取り機にかざすだけで決済が完了するコンタクトレス(接触減)タイプのクレジットカードが、コロナ禍を受けて驚異的なスピードで普及が進んでいる。ビザ・ワールドワイド・ジャパンによると、2019年12月の同タイプの国内決済取引数は前年同月比で約4倍に伸びたが、20年3月は約8倍に、20年6月は約12倍に急伸。対応カードも、前年同月比1.8倍の累計2840万枚(20年6月時点)に達している。

 “ピッ”とかざす使い勝手の良さは、全国で普及している交通系ICカードとほぼ同じ。コンタクトレス対応クレカの場合も数秒で決済が完了する。店頭での接触機会を極力減らしたい消費者が飛び付いているようだ。

1台で交通系もApplePayも対応。導入したのは「Square Reader」
1台で交通系もApplePayも対応。導入したのは「Square Reader」

 理由はもう一つある。要はクレジットカードなので、「Suica」のように上限額(2万円)を気にしたりチャージしたりする手間がかからない。交通系ICカードのスピーディーさとクレジットカードの利便性を併せ持つ点が支持されている。

 自分のクレカがコンタクトレス対応かどうかは、券面を見ればすぐに分かる。無線LANアイコンのような4本線のマークが描かれていればコンタクトレスに対応している。「Visa」「Mastercard」「American Express」「JCB」といった国際カードブランドがそれぞれ独自の名称を付けて手掛けている。

人気ケーキ店も「コンタクトレス」に期待

 東京・赤坂の人気ケーキ店「Libertable(リベルターブル)」は、19年3月と早い段階でコンタクトレス対応クレカが使える決済端末「Square Reader」を導入した。「新型コロナウイルスの感染拡大で店舗側としては、客のクレジットカードをできればお預かりしたくないのが本音。接触を極量減らす意味でも、コンタクトレス対応クレカには期待している」(運営会社クレアティブ代表取締役の森田一頼氏)

コンタクトレス決済が可能な決済端末を導入したことで客との接触を減らせる恩恵を肌で実感しやすくなっている。使えるキャッシュレス決済は、クレジットカード(IC、コンタクトレス)、交通系ICカード、iD、QUICPay
コンタクトレス決済が可能な決済端末を導入したことで客との接触を減らせる恩恵を肌で実感しやすくなっている。使えるキャッシュレス決済は、クレジットカード(IC、コンタクトレス)、交通系ICカード、iD、QUICPay
都内のケーキ店「Libertable(リベルターブル)」はその一つ
都内のケーキ店「Libertable(リベルターブル)」はその一つ
カードを預かる必要がなく決済も一瞬で終わる点は、店舗側にも安全面やオペレーション面といった点でメリットが大きいという
カードを預かる必要がなく決済も一瞬で終わる点は、店舗側にも安全面やオペレーション面といった点でメリットが大きいという

 従来のクレカは、プラスチックカードを店員に渡して磁気ストライプをスワイプしてもらうか、ICチップを読み取り機に差し込んで自分でテンキーにPINコードを入力する必要があった。一方コンタクトレス対応クレカなら、客自身が読み取り機にSuicaのようにかざす瞬間に決済が完了する。店員とのやり取りやテンキーの入力が不要で、まさに名前の通り、“接触減”の安心感が得られる決済手段なのだ。

「Square Reader」なら1万円以下で買える
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実勢価格8120円(税込み)。20年8月から交通系ICカードやiD、QUICPayにも対応
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