
セイコーウオッチのカジュアルブランド「ALBA」のサブブランドとして、2019年10月に誕生した「fusion(フュージョン)」。ターゲットはZ世代で、コンセプトはジェンダーレス。“時計離れ”が進む若者にアピールしようと、独特のカラーデザインを駆使する。
今の若者は時計に興味が薄く、持ったり着けたりする人が減る“時計離れ”が著しいといわれる。2019年に「ALBA」が40周年を迎えるに当たって、「時計離れしてしまっている今の若い人たちに、興味を持ってもらえる時計を作れないだろうかと考えたのがフュージョン誕生のきっかけだった」とセイコーウオッチ商品企画二部の渡邊花奈子氏は言う。
「人生で初めて自分で時計を買ってみようと思うタイミングは、アルバイトをしてまとまったお小遣いが入ったり、就職したりといったときだろう」と渡邊氏。その「マイ・ファースト・ウオッチ」のタイミングは、10代、20代。今でいえばZ世代に当たる。この世代にアピールできる時計への入り口がなければ、その後の人生も、ずっと時計に興味を持たなくなるかもしれない。
【第2回】 コクヨ「スモーキーカラー」でミレニアル・ゼニアル世代を攻略
【第3回】 通販大手フェリシモの「推し色」戦略 オタ活から新ブランドが
【第4回】 プリンスホテルPB伸長の秘密は“浅葱色” 美意識高い女性が支持
【第5回】 チキンやカルパッチョにも使える透明しょうゆが40万本のヒット
※第5回までのパワポまとめ 「5分で分かる共感する色、売れる色」
>>続きはこちらから
今の時代を切り取ったブランドを
時計はもともと男性向け・女性向けがはっきり分かれた商品だった。腕の太さが違うのでサイズも違うし、合わせるファッションも違う。「例えば、それまで我々が手掛けていた女性向けの時計はどちらかといえば宝飾的で、クリスタルをたくさん付けるなど、女の子らしいかわいらしさを志向した製品が多かった」と渡邊氏は振り返る。
一方、Z世代のカルチャーを見ると、男性が化粧をしたり、スカートに見えるようなワイドなズボンをはいたり、あるいは女性でも男性用のグッズを好んで身に着けたり、わざと大きめのスニーカーを履いたりといった、ジェンダーレスな若者の姿が浮かび上がってきた。
「これを機に、現在を切り取ったような今らしいブランドをつくろうと考えた」(渡邊氏)。時計のサイズのトレンドを見ても、男性の好むサイズが小さくなり、女性が好むサイズは大きくなる傾向が14~15年ごろから見られるようになっていた。フュージョンでは男女を分けず、ジェンダーレスなブランドとし、ケースの直径を36~38ミリメートルというほぼワンサイズに設定。男性用としてはミディアムサイズ、女性用ではやや大きめのサイズだ。
フュージョンのブランドコンセプトは「融合」。男女の垣根を越えたジェンダーレスという融合だけではなく、過去のファッションやカルチャーの流行を引用しながら新しい要素を加える、懐かしさと新しさが融合するブランドでもある。
プロモーションでは、Z世代に影響力の強いInstagramにブランド公式アカウントを開設。デジタルメディア「Droptokyo」とコラボレーションし、デジタルネイティブなZ世代に合わせたプロモーションも積極的に行っている。「Droptokyoのメディアに登場するモデルの人たちは、性別や人種の違いを超えて活動しているZ世代の人たちで、そのフォロワーは、まさにフュージョンのターゲットと重なっている」とセイコーウオッチ国内マーケティング部の平山元子氏は言う。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー