
2020年9月に日産自動車が発表した、新型「フェアレディZ」のプロトタイプ「Z Proto」。フェアレディZの現行モデルは08年発売の6代目「Z34」、初代モデルは1969年発売の「S30」。さらに前身に当たる「ダットサン・フェアレディ」まで遡ることができる、同社を代表するロングセラーモデルだ。Z Protoがまとう「イカヅチイエロー」こそ、その長い歴史から生まれた色といえる。
Z Protoは、シルエットやフロントグリル、長いボンネットなどに、歴代のZを感じさせる要素を取り入れた。プロトタイプとの位置付けながら、ほぼこのままの形で市販すると発表している。
発表会やイベントなどに登場したZ Protoのエクステリアは鮮やかなイエロー。この色も、歴代のフェアレディZを分析し、導いたという。Z Protoは、日産自動車グローバルデザイン本部第二プロダクトデザイン部の成澤岳彦氏がカラーデザインのマネジャーを務め、臼倉敦氏がエクステリアのカラーデザインを担当した。
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力強さ、鮮烈さ、美しさを表現
自動車のカラーリングについて、「モデルの性格や、何をユーザーに届けたいかに応じて組み立てる」と解説する臼倉氏。Z Protoのイエローを、「初代モデルなど、歴代のフェアレディZの多くのモデルにイエローが使われていた。そこにヘリテージ性を見いだし、インスピレーションを得た」と振り返る。
歴代モデルのカラーに関する年表のような資料を作成して分かったのが、同じイエローでも、モデルごとに、その時々の最新技術を駆使し、発色を追い求めてきたということだ。例えば、初代S30のサンシャイン・イエローは、同時代の他社モデルにも近似したカラーが使われていたことから、それが当時の技術による発色の限界と推察した。S30にはその後、ライムグリーンに近いイエローや赤みに寄せたイエローなど、3色のイエローが存在した。4代目「Z32」のイエローは、パール感を強調したカラーリングだったという。
さらに分析を進め、モデルごとに異なるイエローの共通項を、「力強さ」に見いだした。
「今振り返ると優しい色合いに見えるイエローであっても、その時代ごとの力強さが表現されていた」(臼倉)
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